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看護概論I

問題​

1. 日本看護協会の看護職の倫理綱領前文に示された、看護の目的について、( )内にあてはまる語句を記入し文章を完成させなさい。​

看護は、あらゆる年代の、( 1 )、家族、集団、地域社会を対象としている。さらに( 2 )、( 3 )、( 4 )、( 5 )を行い、生涯を通してその最期まで、( 6 )人生を全うできるようその人の( 7 )に働きかけながら( 8 )することを目的としている。


正解:

  • 1: 個人
  • 2: 健康の保持増進
  • 3: 健康の回復
  • 4: 疾病の予防
  • 5: 苦痛の緩和
  • 6: その人らしく
  • 7: もつ力
  • 8: 支援

解説: 日本看護協会の看護職の倫理綱領は看護の基本的な目的と対象を明確に示しています。看護は生涯を通じて、あらゆる健康段階にある人々に対し、その人らしい生活を支援することを目指しています。

2. 健康に関する設問について()内に当てはまる語句を記入し文章を完成させなさい。​

世界保健機構(WHO)憲章の前文の健康の定義は「健康とはただ疾病や虚弱じゃないだけでなく、( 1 )( 2 )ならびに( 3 )に完全に( 4 )な状態…。※1・2・3が順番通りでなければ正解としない。


正解:

  • 1: 身体的
  • 2: 精神的
  • 3: 社会的
  • 4: 良好

解説: WHOの健康の定義は1946年に採択された包括的な健康概念です。身体的、精神的、社会的の3つの側面すべてが良好な状態であることを健康としており、単に病気でないということではありません。

1978年、( 5 )宣言で、『2000年までにすべての人に健康を』をスローガンに、( 6 )の考え方が提唱された。


正解:

  • 5: アルマ・アタ
  • 6: プライマリヘルスケア

解説: アルマ・アタ宣言は旧ソ連のアルマ・アタ(現カザフスタンのアルマトイ)で採択されました。プライマリヘルスケアは基本的保健医療として、すべての人が利用可能な医療の基盤となる概念です。

1986年( 7 )憲章で「人々は自分の力で、自身の( 8 )をコントロールし、改善できるようにするプロセスである」と( 9 )の指針を打ち出した。


正解:

  • 7: オタワ
  • 8: 健康
  • 9: ヘルスプロモーション

解説: オタワ憲章はカナダのオタワで開催された第1回ヘルスプロモーション国際会議で採択されました。ヘルスプロモーションは人々が主体的に健康づくりに取り組むことを重視した新しい健康観です。

疾病の予防のための健康づくり対策として、

  • 疾病の早期発見、早期治療を( 10 )予防
  • 再発防止、社会復帰をめざした機能回復、機能維持を( 11 )予防
  • 健康的な生活を送る、生活習慣の見直し、健康の保持増進を( 12 )予防という。

正解:

  • 10: 二次
  • 11: 三次
  • 12: 一次

解説: 予防医学の3段階は疾病の進行段階に対応しています。一次予防は疾病の発症自体を予防し、二次予防は早期発見・早期治療により重症化を防ぎ、三次予防は疾病による機能障害の軽減と社会復帰を図ります。

健康日本21は、( 13 )の延伸と健康格差の縮小、( 14 )病の発症予防と重症化予防を目指す。


正解:

  • 13: 健康寿命
  • 14: 生活習慣

解説: 健康日本21は日本の健康政策の基本計画です。単に平均寿命を延ばすのではなく、健康で自立した生活を送れる健康寿命の延伸を重視し、生活習慣病対策に重点を置いています。

3. マズローは、全ての人間に備わっている基本的ニードを5つの階層に分け、これを、充足を要する優先順に、下からピラミッドのように形づくられているとした。下記の図の【 】の中に適切な語句を記入しなさい。​

    【 5 】のニード
【 4 】のニード
【 3 】のニード
【 2 】のニード
【 1 】ニード

正解:

  • 1: 生理的
  • 2: 安全
  • 3: 所属と愛情
  • 4: 尊敬と承認
  • 5: 自己実現

解説: マズローの欲求階層理論は人間の基本的ニードを5段階のピラミッド構造で表しています。下位の欲求が満たされると上位の欲求が現れるとされ、看護において患者のニードアセスメントに活用されます。

4. 保健師助産師看護師法の規定に関する設問について()内に当てはまる語句を記入しなさい。​

准看護師は( 1 )の免許を受けて、医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者若しくは褥婦に対する( 2 )又は( 3 )を行うことを業とする者をいう。


正解:

  • 1: 都道府県知事
  • 2: 療養上の世話
  • 3: 診療の補助

解説: 保健師助産師看護師法第6条に規定される准看護師の定義です。正看護師と異なり、准看護師は医師・歯科医師・看護師の「指示を受けて」業務を行う点が重要です。

5. ナイチンゲールとヘンダーソンの考え方について()内に当てはまる語句を記入し文章を完成させなさい。​

5-1. ナイチンゲール​

ナイチンゲールは代表的な著書( 1 )に看護の概念を明らかにした。 ナイチンゲールは看護とは、患者の( 2 )の消耗を( 3 )にするよう整えることであるとし、人間には( 4 )が備わっているといった。


正解:

  • 1: 看護覚え書
  • 2: 生命力
  • 3: 最小限
  • 4: 自然治癒力

解説: フローレンス・ナイチンゲールの「看護覚え書」(Notes on Nursing)は1860年に出版された看護学の古典です。環境を整えることで自然治癒力を最大限に発揮させるという看護の基本理念を示しました。

5-2. ヘンダーソン​

ヘンダーソンは著書「看護の基本となるもの」で、人間の( 5 )を( 6 )項目に分類した。 ヘンダーソンは、援助は患者の力を引き出し、その人ができるだけ早く( 7 )できるようにしむけるやり方で行う。看護は( 8 )であるとした。


正解:

  • 5: 基本的ニード
  • 6: 14
  • 7: 自立
  • 8: 個別的

解説: バージニア・ヘンダーソンの「看護の基本となるもの」は現代看護の理論的基盤となった重要な著作です。14の基本的ニードは具体的で実用的な看護実践の指針となっており、患者の自立支援と個別性を重視しています。

6. 看護方式についての説明文を読み、適切な看護方式を下記の語群から選び記号を記入しなさい。​

語群:

  • 機能別看護方式 業務別看護方式 混合型看護方式 個別的看護方式
  • 受持ち看護方式 モジュールナーシング クォリティナーシング
  • チームナーシング プライマリーナーシング POS PNS

6-1​

検温、処置など業務を分業化して看護師が個別に分担する方式。能率的であるが、患者一看護師関係が確立しにくく、一貫した看護が行いにくい。


正解: 機能別看護方式

解説: 機能別看護方式は効率性を重視した方式ですが、患者との継続的な関係構築が困難で、個別性のある看護の提供に限界があります。

6-2​

1勤務時間内において、1人の看護師が1人または数人の患者を受け持つ。


正解: 受持ち看護方式

解説: 受持ち看護方式は1勤務内での患者担当制で、患者との関係は深まりますが勤務交代時の継続性に課題があります。

6-3​

看護師・准看護師・看護補助者が看護チームをつくり、チームで看護を行う。チームリーダーの指揮のもと、メンバーは割り当てられた看護を看護計画に基づいて行う。


正解: チームナーシング

解説: チームナーシングは多職種の看護職員がチームを組んで看護を提供する方式で、チームリーダーの調整力が重要な役割を果たします。

6-4​

十分な教育を受けた1人の看護師が、その責任と判断のもとに、患者の入院から退院までの看護を一貫して受け持つ方式。


正解: プライマリーナーシング

解説: プライマリーナーシングは高い専門性を持つ看護師が24時間責任を持って患者を担当する方式で、継続性と専門性を重視した看護提供システムです。

6-5​

2人の看護師がよきパートナーとして複数の患者を受け持ち、相互に補完し協力し合う。


正解: PNS(Partnership Nursing System)

解説: PNSは日本で開発された看護方式で、2人の看護師が対等なパートナーシップを組み、互いの強みを活かしながら安全で質の高い看護を提供します。

6-6​

1看護単位をいくつかの基礎単位に細分化し、その基礎単位ごとに勤務計画や分担計画をたてて、継続的に受け持ち方式で看護を行う方式。看護の継続性が保障され、看護の責任が明確になる。チームでのサポートが受けやすい。


正解: モジュールナーシング

解説: モジュールナーシングは病棟を小さな単位(モジュール)に分けて看護を提供する方式で、継続性と責任の明確化を図りながらチームサポートも維持できる特徴があります。

7. 1~6の説明文について、あてはまる語句を下記の語群から選び記号を記入しなさい。​

語群:

  • 診療報酬制度 他職種連携 地域在宅看護 アドボケイト トリアージ
  • ACP サービス調整会議 国民皆保険制度 後期高齢者医療制度 被用者保険
  • チーム医療 地域包括ケアシステム ノーマライゼーション インフォームドコンセント

7-1​

患者の権利擁護を主張したり、代弁する者


正解: アドボケイト

解説: アドボケイト(advocate)は患者の権利擁護者として、患者の立場に立って代弁し、権利を守る役割を果たす重要な看護機能の一つです。

7-2​

日本の国民は何らかの医療保険に加入することが義務付けられている。


正解: 国民皆保険制度

解説: 国民皆保険制度は1961年に日本で確立された制度で、すべての国民が何らかの医療保険に加入することで、医療アクセスの平等性を保障しています。

7-3​

医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供する。


正解: チーム医療

解説: チーム医療は医師、看護師、薬剤師、理学療法士など多職種の専門家が連携して患者中心の医療を提供するアプローチで、現代医療の基本的な考え方です。

7-4​

生み慣れた場で、最期まで自分らしい生活を送ることを支えるしくみ。


正解: 地域包括ケアシステム

解説: 地域包括ケアシステムは高齢者が住み慣れた地域で最期まで自分らしい生活を継続できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する仕組みです。

7-5​

ケアにかかわる専門職が、ケアの受け手に関する情報を円滑に共有しながら、それぞれの専門性に基づいた役割分担と連携をする。


正解: 多職種連携

解説: 多職種連携は異なる専門職が協働してケアを提供することで、各職種の専門性を活かしながら包括的で質の高いケアの実現を目指します。

7-6​

災害などにより多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重症度を評価し治療や搬送の優先順位を決定する。


正解: トリアージ

解説: トリアージは限られた医療資源を最も効果的に活用するため、患者の緊急度・重症度に基づいて治療優先順位を決定する医学的判断システムです。災害時や救急医療で重要な役割を果たします。

8. 基礎看護実習Iでの学び、気づきから、今後看護を学び続けるうえでの自己の決意や、今後の課題について、現在どのように考えているか、どのように努力していくのか具体的に記入しなさい。​

(具体的に記入されていない場合は減点されます)

准看護師試験過去問題​

令和6年度 A日程​

問題1​

キューブラー・ロスの死の受容段階について「否認」の次の段階はどれか。

  1. 受容
  2. 取引
  3. 怒り
  4. 抑うつ

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 受容:第5段階(最終段階)です。死を静かに受け入れる段階で、否認の直後ではありません。
  2. ✗ 取引:第3段階です。「もし~してくれたら~する」という交渉・取引を試みる段階で、怒りの後に来ます。
  3. ✓ 怒り:正解。第2段階で、否認の直後に来る段階です。「なぜ私が?」という怒りを周囲(家族、医療者、神など)に向けます。
  4. ✗ 抑うつ:第4段階です。失うものの大きさに気づき深い悲しみに沈む段階で、取引の後に来ます。

5段階の順序: 否認 → 怒り → 取引 → 抑うつ → 受容

問題2​

災害サイクルの静穏期の看護師の役割について、適切なのはどれか。

  1. 生活の自立に向けた支援や復興活動を行う
  2. 被災者の衛生管理に努める
  3. セルフケアの促進に向けた援助を行う
  4. 災害の備えをする災害対策計画や実地訓練を行う

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 生活の自立に向けた支援や復興活動を行う:復興期の活動です。仮設住宅での生活支援や心のケアなどを行います。
  2. ✗ 被災者の衛生管理に努める:急性期・亜急性期の活動です。避難所での感染症予防、環境衛生管理が重要になります。
  3. ✗ セルフケアの促進に向けた援助を行う:慢性期の活動です。被災者の自立支援を促進する時期です。
  4. ✓ 災害の備えをする災害対策計画や実地訓練を行う:正解。静穏期は災害が発生していない平常時であり、次の災害に備えて防災訓練、災害対策計画の策定、物資の備蓄、災害対応マニュアルの整備などの準備活動を行います。

問題3​

問題の所在を明確にし、解決策を考えて実行する対処法はどれか。

  1. 問題焦点(中心)型コーピング
  2. 情動焦点(中心)型コーピング
  3. 合理化
  4. 置き換え

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 問題焦点(中心)型コーピング:正解。問題の原因を分析し、具体的な解決策を立てて実行するストレス対処法です。例:試験のストレス→計画的に勉強する。
  2. ✗ 情動焦点(中心)型コーピング:問題そのものではなく、問題によって生じた感情(不安、怒りなど)を和らげることに焦点を当てます。例:気分転換、リラックス。
  3. ✗ 合理化:防衛機制の一つで、自分の失敗や欠点に対してもっともらしい理由をつけて正当化することです。問題解決にはつながりません。
  4. ✗ 置き換え:防衛機制の一つで、ある対象に向けられた感情を別の対象に向けることです(例:上司への怒りを家族にぶつける)。問題解決にはつながりません。

問題4​

セルフケア理論を提唱したのはだれか。

  1. オーランド
  2. ロイ
  3. ヘンダーソン
  4. オレム

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ オーランド:看護過程理論を提唱しました。患者の行動を観察し、看護師の反応と患者への影響を重視した理論です。
  2. ✗ ロイ:適応モデルを提唱しました。人間を適応システムと捉え、4つの適応様式(生理的、自己概念、役割機能、相互依存)を示しました。
  3. ✗ ヘンダーソン:14の基本的ニードを提唱しました。看護は患者が自立できるよう援助することだとしましたが、セルフケア理論とは異なります。
  4. ✓ オレム:正解。セルフケア理論(セルフケア不足理論)を提唱しました。人間は本来セルフケア能力を持っており、それが不足した時に看護が必要になるという考え方です。

問題5​

保健師助産師看護師法第5条に規定されている「療養上の世話」に該当するのはどれか。

  1. 睡眠を促す援助
  2. 検査の介助
  3. 与薬
  4. 創傷の処置

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 睡眠を促す援助:正解。日常生活動作(ADL)の援助であり、療養上の世話に該当します。環境調整、リラクゼーション、生活リズムの整えなど看護師が独自に判断して実施できます。
  2. ✗ 検査の介助:診療の補助に該当します。医師の指示のもとで行う医療行為の補助です。
  3. ✗ 与薬:診療の補助に該当します。医師の処方・指示に基づいて行う医療行為です。
  4. ✗ 創傷の処置:診療の補助に該当します。医師の指示のもとで行う医療処置です。

療養上の世話の例: 清潔(入浴、清拭)、食事介助、排泄介助、体位変換、睡眠の援助など

問題6​

地域包括ケアシステムについて、適切なのはどれか。

  1. 全国で統一されたシステムである
  2. 医療を基本においたシステムである
  3. 約1週間以内の日常生活圏で行われるシステムである
  4. 住み慣れた場で最期まで自分らしく生きることを支援するシステムである

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 全国で統一されたシステムである:誤り。地域の実情(人口構成、地理的条件、社会資源など)に応じて、各地域が独自に構築するシステムです。
  2. ✗ 医療を基本においたシステムである:誤り。医療・介護・予防・住まい・生活支援の5つの要素が一体的に提供される包括的なシステムです。医療だけが基本ではありません。
  3. ✗ 約1週間以内の日常生活圏で行われるシステムである:誤り。おおむね30分以内(中学校区程度)の日常生活圏域を想定しています。1週間ではなく30分の範囲です。
  4. ✓ 住み慣れた場で最期まで自分らしく生きることを支援するシステムである:正解。高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう支援する仕組みです。

問題7​

倫理原則とその内容の組み合わせで、正しいのはどれか。

  1. 自立の原則……公平や平等であること
  2. 善行の原則……対象者の利益のためによい行いをすること
  3. 無害(無危害)の原則……自らを律し自己決定すること
  4. 正義の原則……対象者に害を加えてはならない

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 自立の原則……公平や平等であること:組み合わせが誤り。「公平や平等」は正義の原則の内容です。自律尊重の原則は「自己決定を尊重すること」です。
  2. ✓ 善行の原則……対象者の利益のためによい行いをすること:正解。善行の原則(beneficence)は、患者の最善の利益を図り、よりよい結果をもたらすよう行動することです。
  3. ✗ 無害(無危害)の原則……自らを律し自己決定すること:組み合わせが誤り。「自らを律し自己決定」は自律尊重の原則の内容です。無害の原則は「患者に害を与えない」ことです。
  4. ✗ 正義の原則……対象者に害を加えてはならない:組み合わせが誤り。「害を加えない」は無害の原則の内容です。正義の原則は「公平・平等」です。

医療倫理の4原則: 自律尊重・善行・無害(無危害)・正義

問題8​

医療安全について、正しいのはどれか。

  1. 医療事故が未然に防げた事象をインシデントという
  2. 療養上の世話で最も多い医療事故は食事の介助である
  3. 個人の責任を追及することが重要である
  4. ヒューマンエラーはゼロにしなければならない

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 医療事故が未然に防げた事象をインシデントという:正解。インシデントは「ヒヤリ・ハット」事例のことで、患者に実害は及ばなかったが、及ぶ可能性があった事例や、実害があっても軽微だった事例を指します。報告して分析することで事故を予防します。
  2. ✗ 療養上の世話で最も多い医療事故は食事の介助である:誤り。療養上の世話で最も多い医療事故は転倒・転落です。高齢者や身体機能が低下した患者に多く発生します。
  3. ✗ 個人の責任を追及することが重要である:誤り。現代の医療安全では、個人の責任追及ではなく、システムの改善が重視されます。エラーの背景にあるシステムの問題を分析し改善することが重要です。
  4. ✗ ヒューマンエラーはゼロにしなければならない:誤り。人間である以上、エラーは完全にゼロにはできません。エラーが起きることを前提に、エラーが重大事故につながらないようなシステム(多重チェック、フールプルーフなど)を構築することが重要です。

令和6年度 B日程​

問題9​

フィンクの危機モデルにおいて、防衛的退行の段階を示すのはどれか。

  1. 対処しきれないほどの不安が生じる時期
  2. 自分自身を安心させ自らを守ろうとする時期
  3. 精神的に落ち込みが強くなり強度な不安、抑うつ状態を呈する時期
  4. 新しい自己イメージを作り出していく時期

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 対処しきれないほどの不安が生じる時期:第1段階「衝撃」の説明です。突然の出来事に対して、パニック状態や茫然自失の状態になります。
  2. ✓ 自分自身を安心させ自らを守ろうとする時期:正解。第2段階「防衛的退行」の説明です。現実を否認したり、非現実的な期待を持ったりして、自分を守ろうとします。
  3. ✗ 精神的に落ち込みが強くなり強度な不安、抑うつ状態を呈する時期:第3段階「承認」の説明です。現実を受け入れ始め、喪失感や悲しみ、抑うつを経験します。
  4. ✗ 新しい自己イメージを作り出していく時期:第4段階「適応」の説明です。新しい状況を受け入れ、前向きに生活を再構築していきます。

フィンクの危機モデル4段階: 衝撃 → 防衛的退行 → 承認 → 適応

問題10​

災害看護について、適切なのはどれか。

  1. トリアージタグ(識別票)の装着位置は、原則として左手関節部である
  2. トリアージタグ(識別票)の赤は、待機的治療群(非緊急治療)を示す
  3. 要配慮者には、健康および生活支援が重要である
  4. 災害サイクルの静穏期には、感染対策を優先する

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ トリアージタグ(識別票)の装着位置は、原則として左手関節部である:誤り。トリアージタグは原則として右手首に装着します。右手首が損傷している場合は、左手首、右足首、左足首、首の順で装着します。
  2. ✗ トリアージタグ(識別票)の赤は、待機的治療群(非緊急治療)を示す:誤り。赤は最優先治療群(第1群)で、生命の危険があり直ちに治療が必要な重症者を示します。待機的治療群は黄色です。
  3. ✓ 要配慮者には、健康および生活支援が重要である:正解。要配慮者(高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、外国人など)は災害時に特別な配慮が必要で、健康管理と生活支援の両面からのサポートが重要です。
  4. ✗ 災害サイクルの静穏期には、感染対策を優先する:誤り。静穏期(平常時)には災害に備えた準備活動(訓練、計画策定など)を行います。感染対策が優先されるのは急性期・亜急性期です。

問題11​

人間の欲求(ニード)を5段階の階層として、提唱したのはだれか。

  1. マズロー
  2. ヘンダーソン
  3. ロイ
  4. オレム

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ マズロー:正解。アブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は欲求階層理論を提唱しました。人間の欲求をピラミッド型の5段階で示し、下位の欲求が満たされると上位の欲求が現れるとしました。
  2. ✗ ヘンダーソン:看護の基本となるものを著し、人間の基本的ニードを14項目に分類しました。階層構造ではなく、並列的な基本的ニードです。
  3. ✗ ロイ:適応モデル(Roy Adaptation Model)を提唱しました。人間を適応システムと捉えた理論です。
  4. ✗ オレム:セルフケア理論を提唱しました。セルフケア不足に焦点を当てた理論です。

マズローの5段階: 生理的欲求 → 安全の欲求 → 所属と愛情の欲求 → 尊敬と承認の欲求 → 自己実現の欲求

問題12​

人間の成長と発達について、適切なのはどれか。

  1. 身体の末梢部から中枢(中心)の方向へ発達する
  2. 頭部から足部へ発達する
  3. 速度は一定である
  4. 個人差はない

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 身体の末梢部から中枢(中心)の方向へ発達する:誤り。逆です。中枢(体の中心部)から末梢(手足の先)へと発達します。これを「中枢末梢の法則」といいます。
  2. ✓ 頭部から足部へ発達する:正解。「頭尾方向の法則」といい、頭部から尾部(足部)へと発達が進みます。例えば、首がすわる→座れる→立てる→歩けるという順序です。
  3. ✗ 速度は一定である:誤り。発達速度は年齢や個人によって異なります。乳幼児期は急速に発達し、その後緩やかになります。また、思春期には再び急速な発達が見られます。
  4. ✗ 個人差はない:誤り。発達には大きな個人差があります。遺伝、環境、栄養状態などにより、発達の速度やパターンは個人によって異なります。

発達の2つの法則: 頭尾方向(頭→足)、中枢末梢方向(中心→末端)

問題13​

看護記録について正しいのはどれか。

  1. 保存期間は5年である
  2. 保健師助産師看護師法により規定されている
  3. 経過記録は治療経過の目安を記録したものである
  4. プライバシー・個人情報の保護に十分な注意が必要である

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 保存期間は5年である:正しい内容ですが、この問題では選択肢3が最も適切な正解とされています。看護記録は診療録の一部として医師法により5年間の保存が義務付けられています。
  2. ✗ 保健師助産師看護師法により規定されている:誤り。看護記録の保存期間は医師法第24条で規定されており、保健師助産師看護師法ではありません。
  3. ✓ 経過記録は治療経過の目安を記録したものである:正解。経過記録は患者の状態変化や治療・看護の経過を時系列で記録するもので、継続的な看護を提供するために不可欠です。
  4. ✗ プライバシー・個人情報の保護に十分な注意が必要である:正しい内容ですが、この問題では選択肢3が正解とされています。看護記録には個人情報が含まれるため、プライバシー保護は当然重要です。

問題14​

准看護師について、正しいのはどれか。

  1. 厚生労働大臣の免許を受けて業務を行う
  2. 医師や歯科医師、看護師の指示を受けて業務を行う
  3. 名称独占ではないが業務独占である
  4. 訪問看護ステーションの管理者になれる

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 厚生労働大臣の免許を受けて業務を行う:誤り。准看護師は都道府県知事の免許です。厚生労働大臣の免許は看護師(正看護師)です。
  2. ✗ 医師や歯科医師、看護師の指示を受けて業務を行う:正しい内容ですが、この問題では選択肢3が正解とされています。准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行います(保健師助産師看護師法第6条)。
  3. ✓ 名称独占ではないが業務独占である:正解。准看護師は業務独占(准看護師の業務は有資格者のみが行える)かつ名称独占(准看護師という名称は有資格者のみが使える)の両方です。この選択肢は誤った記述ですが、試験の正解として指定されています。※実際には准看護師も名称独占と業務独占の両方を持っています。
  4. ✗ 訪問看護ステーションの管理者になれる:誤り。訪問看護ステーションの管理者になれるのは看護師(正看護師)のみです。准看護師はなれません。

注: この問題の選択肢3の説明には疑問がありますが、試験の解答通りに記載しています。

問題15​

「対象の利益や負担は公平・平等でなければならない」という倫理原則はどれか。

  1. 正義の原則
  2. 無害(無危害)の原則
  3. 善行の原則
  4. 自律の原則

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 正義の原則:正解。正義の原則(justice)は、医療資源や利益・負担を公平・平等に配分すべきという倫理原則です。すべての人に公正に対応し、差別や優遇をしないことを求めます。
  2. ✗ 無害(無危害)の原則:患者に害を与えてはならないという原則です(non-maleficence)。「まず害を与えないこと」が基本です。
  3. ✗ 善行の原則:患者の利益のために良い行いをするという原則です(beneficence)。患者の最善の利益を図ります。
  4. ✗ 自律の原則:患者の自己決定権を尊重するという原則です(autonomy)。十分な情報提供のもと、患者自身が意思決定できるよう支援します。

問題16​

ナイチンゲールの著書はどれか。

  1. 看護の基本となるもの
  2. 看護覚え書
  3. 看護の探求
  4. 人間対人間の看護

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 看護の基本となるもの:バージニア・ヘンダーソン(Virginia Henderson)の著書です。人間の14の基本的ニードを示しました。
  2. ✓ 看護覚え書:正解。フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale)の代表的著書「Notes on Nursing(看護覚え書)」です。1860年に出版され、環境を整えることで患者の自然治癒力を高めるという看護の基本理念を示しました。
  3. ✗ 看護の探求:該当する主要な看護理論家の著書ではありません。
  4. ✗ 人間対人間の看護:ジョイス・トラベルビー(Joyce Travelbee)の著書です。人間対人間の関係性を重視した看護理論を展開しました。

令和5年度 A日程​

問題29​

世界保健機関(WHO)が示す健康のとらえ方はどれか。

  1. 健全な精神は健全な身体に宿る
  2. 完全に良好な状態であり、人間の基本的権利である
  3. 病気でないことである
  4. 国民にとっての権利であり、国の責務である

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 健全な精神は健全な身体に宿る:古代ローマの詩人ユウェナリスの言葉「健全な精神は健全な身体に宿る(Mens sana in corpore sano)」です。WHOの定義ではありません。
  2. ✓ 完全に良好な状態であり、人間の基本的権利である:正解。WHO憲章では「健康とは、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態(complete state of well-being)であり、単に疾病や虚弱がないことではない。到達可能な最高水準の健康を享受することは、すべての人間の基本的権利の一つである」と定義されています。
  3. ✗ 病気でないことである:誤り。これは古い健康観です。WHOは「単に疾病や虚弱がないことではない」と明確に否定し、より包括的な健康概念を示しています。
  4. ✗ 国民にとっての権利であり、国の責務である:日本国憲法第25条(生存権)の考え方に近いですが、WHOの健康の定義ではありません。WHOは「すべての人間の基本的権利」としています。

問題30​

セルフケアの観点から看護を説明した理論家は誰か。

  1. ナイチンゲール
  2. ロイ
  3. トラベルビー
  4. オレム

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ ナイチンゲール:「看護覚え書」で環境理論を展開しました。環境を整えることで患者の自然治癒力を高めるという考え方です。
  2. ✗ ロイ:適応モデル(Roy Adaptation Model)を提唱しました。人間を適応システムと捉え、4つの適応様式を示しました。
  3. ✗ トラベルビー:人間対人間の関係性モデルを提唱しました。看護師と患者の人間的な関係性を重視しました。
  4. ✓ オレム:正解。ドロセア・オレム(Dorothea Orem)はセルフケア不足理論を提唱しました。人間は本来セルフケア能力を持っており、それが不足した時に看護が必要になるという考え方です。

問題31​

准看護師について、正しいのはどれか。

  1. 厚生労働大臣の免許を受けて業務を行う
  2. 業務独占はない
  3. 診療の補助は医師の指示が必要である
  4. 医師の指示があれば、絶対的医療行為(絶対的医行為)ができる

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 厚生労働大臣の免許を受けて業務を行う:誤り。准看護師は都道府県知事の免許です。厚生労働大臣の免許は保健師・助産師・看護師(正看護師)です。
  2. ✗ 業務独占はない:誤り。准看護師にも業務独占があります。准看護師の業務(療養上の世話、診療の補助)は資格がない人には行えません。
  3. ✓ 診療の補助は医師の指示が必要である:正解。保健師助産師看護師法第6条により、准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示を受けて診療の補助を行います。正看護師は診療の補助について自律的に判断できますが、准看護師は必ず指示が必要です。
  4. ✗ 医師の指示があれば、絶対的医療行為(絶対的医行為)ができる:誤り。絶対的医行為(手術、麻酔など)は医師のみが行える行為であり、医師の指示があっても准看護師は実施できません。

問題32​

医療安全について、正しいのはどれか。

  1. ヒューマンエラーは起こりうることが前提である
  2. 過失では法的責任は問われない
  3. 事故後の再発防止のために個人の責任を追及する
  4. 看護職は医療事故の当事者となる可能性は低い

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ ヒューマンエラーは起こりうることが前提である:正解。現代の医療安全では、「To err is human(人は誤る)」という考え方が基本です。エラーをゼロにすることは不可能であるため、エラーが起きても重大事故につながらないシステム(フールプルーフ、フェイルセーフなど)を構築することが重要です。
  2. ✗ 過失では法的責任は問われない:誤り。医療過失があれば民事責任(損害賠償)や刑事責任が問われる可能性があります。ただし、医療安全の観点からは、責任追及よりも再発防止のためのシステム改善が重視されます。
  3. ✗ 事故後の再発防止のために個人の責任を追及する:誤り。個人を責めると報告が上がらなくなり、組織全体の安全性が低下します。システムの問題を分析し改善することが重要です。
  4. ✗ 看護職は医療事故の当事者となる可能性は低い:誤り。看護職は患者と最も接触時間が長く、医療事故の当事者となる可能性は高いです。だからこそ医療安全への意識が重要です。

問題33​

エリクソンの発達課題の組合せで、正しいのはどれか。

  1. 乳児期:積極性 対 罪悪感
  2. 幼児初期:自律感 対 恥・疑惑
  3. 青年期:勤勉 対 劣等感
  4. 壮年期:親密性 対 孤独

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 乳児期:積極性 対 罪悪感:誤り。乳児期(0〜1歳)の課題は「基本的信頼感 対 不信感」です。「積極性 対 罪悪感」は幼児後期(3〜6歳)の課題です。
  2. ✓ 幼児初期:自律感 対 恥・疑惑:正解。幼児初期(1〜3歳)の課題は「自律感(autonomy) 対 恥・疑惑(shame and doubt)」です。トイレトレーニングなどを通じて自律性を獲得する時期です。
  3. ✗ 青年期:勤勉 対 劣等感:誤り。青年期(12〜18歳)の課題は「同一性(アイデンティティ) 対 同一性拡散」です。「勤勉性 対 劣等感」は学童期(6〜12歳)の課題です。
  4. ✗ 壮年期:親密性 対 孤独:誤り。壮年期(40〜65歳)の課題は「生殖性(世代性) 対 停滞」です。「親密性 対 孤立」は成人初期(18〜40歳)の課題です。

エリクソンの8段階: 乳児期→幼児初期→幼児後期→学童期→青年期→成人初期→壮年期→老年期

問題34​

被験者の自己決定権を示したのはどれか。

  1. ヒポクラテスの誓い
  2. ジュネーブ宣言
  3. アルマ・アタ宣言
  4. ニュルンベルク綱領

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ ヒポクラテスの誓い:古代ギリシャの医師ヒポクラテスが定めた医の倫理です。「患者に害を与えない」「秘密を守る」などが含まれますが、被験者の自己決定権については言及していません。
  2. ✗ ジュネーブ宣言:1948年に世界医師会(WMA)が採択した医の倫理に関する宣言です。ヒポクラテスの誓いを現代化したもので、医師の倫理を示していますが、被験者の自己決定権を初めて示したものではありません。
  3. ✗ アルマ・アタ宣言:1978年にWHOが採択した宣言で、「すべての人に健康を」をスローガンにプライマリヘルスケアの理念を示しました。公衆衛生に関する宣言です。
  4. ✓ ニュルンベルク綱領:正解。1947年、第二次世界大戦中のナチスによる非人道的な人体実験を裁いたニュルンベルク裁判の判決で示された倫理綱領です。人間を対象とする医学研究において、被験者の自発的同意(informed consent)が絶対必要であることを世界で初めて明示しました。

問題35​

倫理的ジレンマの説明について、適切なのはどれか。

  1. 規則を疑うことである
  2. 自己正当化することである
  3. 相反する倫理的根拠に対して生じるものである
  4. 倫理的に選択することである

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 規則を疑うことである:倫理的ジレンマの説明ではありません。規則を批判的に検討することは重要ですが、ジレンマとは異なります。
  2. ✗ 自己正当化することである:これは防衛機制の「合理化」に近い概念です。倫理的ジレンマの説明ではありません。
  3. ✓ 相反する倫理的根拠に対して生じるものである:正解。倫理的ジレンマ(ethical dilemma)とは、複数の倫理原則や価値観が対立し、どの選択肢を選んでも何らかの倫理的問題が生じる状況です。例:末期がん患者への告知(自律尊重 vs 無害の原則)、限られた医療資源の配分(正義の原則内での対立)など。
  4. ✗ 倫理的に選択することである:これは倫理的意思決定の説明です。ジレンマはその意思決定が困難な状況を指します。

問題36​

アンリ・デュナンによって設立された人々の救護活動と公衆衛生活動に貢献することをめざす団体はどれか。

  1. 国際看護師協会(ICN)
  2. 国際赤十字(IFRC)
  3. 世界保健機関(WHO)
  4. 世界医師会(WMA)

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 国際看護師協会(ICN:International Council of Nurses):1899年に設立された世界の看護師の専門職団体です。アンリ・デュナンとは関係ありません。
  2. ✓ 国際赤十字(IFRC:International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies):正解。アンリ・デュナン(Henri Dunant、1828-1910)は1859年のソルフェリーノの戦いで約4万人の負傷者が放置されている悲惨な状況を目撃し、1863年に赤十字国際委員会(ICRC)を創設しました。これが国際赤十字運動の始まりです。デュナンは第1回ノーベル平和賞(1901年)を受賞しました。
  3. ✗ 世界保健機関(WHO:World Health Organization):1948年に設立された国際連合の専門機関です。アンリ・デュナンとは関係ありません。
  4. ✗ 世界医師会(WMA:World Medical Association):1947年に設立された世界の医師会の国際組織です。アンリ・デュナンとは関係ありません。

令和5年度 B日程​

問題29​

一次予防について、正しいのはどれか。

  1. 疾病の初期に行う予防のことである
  2. 障害された機能の維持や回復を目指すものである
  3. 健康診断を受けることである
  4. 健康の保持・増進を目指すものである

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 疾病の初期に行う予防のことである:二次予防の説明です。早期発見・早期治療により疾病の重症化を防ぎます。
  2. ✗ 障害された機能の維持や回復を目指すものである:三次予防の説明です。リハビリテーションなどにより機能回復・社会復帰を目指します。
  3. ✗ 健康診断を受けることである:二次予防の具体例です。健康診断、がん検診などによる早期発見が該当します。
  4. ✓ 健康の保持・増進を目指すものである:正解。一次予防は疾病の発症そのものを予防することを目的とします。健康教育、予防接種、栄養改善、運動習慣の確立、禁煙など、健康増進と特異的予防が含まれます。

予防医学の3段階: 一次予防(発症予防) → 二次予防(早期発見・早期治療) → 三次予防(機能回復・社会復帰)

問題30​

ホメオスタシスの定義はどれか。

  1. 有害な刺激形態に対する身体的防衛
  2. 生体の恒常性を維持する働き
  3. ストレスに伴う不快な感情を解消しようとする働き
  4. 精神的な均衡を保とうとする心の働き

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 有害な刺激形態に対する身体的防衛:ストレス反応や免疫反応の説明に近いです。ホメオスタシスの定義ではありません。
  2. ✓ 生体の恒常性を維持する働き:正解。ホメオスタシス(homeostasis)は、外部環境が変化しても内部環境(体温、血圧、血糖値、pHなど)を一定範囲内に保つ生体の調節機能です。神経系と内分泌系が協働して恒常性を維持します。
  3. ✗ ストレスに伴う不快な感情を解消しようとする働き:コーピング(ストレス対処)の説明です。ホメオスタシスは主に生理的な恒常性維持を指します。
  4. ✗ 精神的な均衡を保とうとする心の働き:心理的な適応機制や防衛機制の説明です。ホメオスタシスは主に身体的な恒常性を指します。

ホメオスタシスの例: 体温調節、血糖調節、血圧調節、水分・電解質バランスなど

問題31​

パートナーシップナーシングシステム(PNS)について、適切なのはどれか。

  1. 業務別に分担を決めて行う
  2. 1人の看護師が受け持った患者の看護をすべて行う
  3. 患者の入院から退院まで看護を一貫して受け持つ
  4. 2人の看護師が互いに協力しながら複数の患者を受け持つ

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 業務別に分担を決めて行う:機能別看護方式(業務別看護方式)の説明です。検温、処置などの業務を分業化する方式で、効率的ですが継続的な看護が困難です。
  2. ✗ 1人の看護師が受け持った患者の看護をすべて行う:受持ち看護方式の説明です。1勤務内で1人または数人の患者を受け持ちます。
  3. ✗ 患者の入院から退院まで看護を一貫して受け持つ:プライマリーナーシングの説明です。1人の看護師が24時間責任を持って入院から退院まで一貫して担当します。
  4. ✓ 2人の看護師が互いに協力しながら複数の患者を受け持つ:正解。パートナーシップナーシングシステム(PNS)は、2人の看護師が対等なパートナーとして組み、互いの知識・技術を補完し合いながら協力して複数の患者を受け持つ日本で開発された看護提供システムです。安全性の向上、新人教育、看護師の精神的支援などの効果があります。

問題32​

トリアージタグについて、正しいのはどれか。

  1. 生命徴候がない状態は赤色である
  2. 最優先に治療が必要な状態は黄色である
  3. 待機可能な状態は青色である
  4. 歩行可能な状態は緑色である

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 生命徴候がない状態は赤色である:誤り。生命徴候がない(心肺停止、死亡)状態は黒色です。赤色は生命の危険がある重症者で、直ちに治療が必要な状態です。
  2. ✗ 最優先に治療が必要な状態は黄色である:誤り。最優先治療群(第1群)は赤色です。黄色は待機的治療群(第2群)で、多少治療が遅れても生命に危険がない中等症者です。
  3. ✗ 待機可能な状態は青色である:誤り。トリアージタグに青色はありません。待機可能な軽症者は緑色です(第3群、保留群)。
  4. ✓ 歩行可能な状態は緑色である:正解。緑色は第3群(保留群)で、軽症者を示します。自力で歩行可能で、治療の優先度が低い状態です。

トリアージタグの色分け:

  • 黒:死亡・救命不可能(第0群)
  • 赤:最優先治療群・重症(第1群)
  • 黄:待機的治療群・中等症(第2群)
  • 緑:保留群・軽症(第3群)

問題33​

災害サイクルについて、正しいのはどれか。

  1. 災害発生からの時間経過をサイクルとして捉えた概念である
  2. 災害発生から3日間を亜急性期としている
  3. 静穏期には個人差に目を向けて生活支援を行う
  4. 復興期には災害に備えて防災訓練を行う

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 災害発生からの時間経過をサイクルとして捉えた概念である:正解。災害サイクルは、災害発生前から発生後、そして次の災害への備えまでを時間経過で段階的に捉えた概念です。静穏期→発災期→急性期→亜急性期→慢性期→復興期→静穏期と循環します。
  2. ✗ 災害発生から3日間を亜急性期としている:誤り。災害発生から72時間(3日間)は急性期です。亜急性期は急性期の後、おおむね災害発生から4日目〜1ヶ月程度の時期を指します。
  3. ✗ 静穏期には個人差に目を向けて生活支援を行う:誤り。静穏期は災害が発生していない平常時で、次の災害に備えた準備(防災訓練、計画策定、物資備蓄など)を行う時期です。個人差に目を向けた生活支援は慢性期や復興期の活動です。
  4. ✗ 復興期には災害に備えて防災訓練を行う:誤り。防災訓練は静穏期(平常時)に行います。復興期は生活の再建、コミュニティの再構築、心のケアなどを行う時期です。

災害サイクル: 静穏期 → 発災期 → 急性期(72時間) → 亜急性期 → 慢性期 → 復興期 → 静穏期

問題34​

看護師にとっての守秘義務について、正しいのはどれか。

  1. 医療に関わる情報に限定される
  2. 氏名は該当しない
  3. 情報開示には本人の同意が必要である
  4. 保健師助産師看護師法には規定されていない

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 医療に関わる情報に限定される:誤り。守秘義務の対象は医療情報に限定されません。業務上知り得たすべての個人情報(住所、家族構成、経済状況、生活状況など)が対象です。
  2. ✗ 氏名は該当しない:誤り。氏名も個人情報であり、守秘義務の対象です。個人情報保護法でも氏名は個人を識別できる情報として保護されています。
  3. ✓ 情報開示には本人の同意が必要である:正解。個人情報を第三者に開示する際は、原則として本人の同意が必要です。ただし、法令に基づく場合や、生命・身体の保護のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合など、例外もあります。
  4. ✗ 保健師助産師看護師法には規定されていない:誤り。保健師助産師看護師法第42条の2に守秘義務が明確に規定されています。「業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後においても同様とする」とされています。

守秘義務違反の罰則: 6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金(保健師助産師看護師法第44条の3)

問題35​

倫理原則の「自律尊重の原則」はどれか。

  1. 他人に公正でなければならない
  2. 他人の権利を保護・擁護する
  3. 必要な情報を提供し自己決定を支援する
  4. 苦痛や苦悩を引き起こしてはならない

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 他人に公正でなければならない:正義の原則(justice)の説明です。医療資源や利益・負担を公平・平等に配分することを求めます。
  2. ✗ 他人の権利を保護・擁護する:アドボカシー(権利擁護)の説明です。倫理原則というより、看護師の役割・機能の一つです。自律尊重の原則を実現するための行動とも言えます。
  3. ✓ 必要な情報を提供し自己決定を支援する:正解。自律尊重の原則(autonomy、自律の原則)は、患者が自分の意思で決定する権利を尊重することです。そのためには、患者が理解できるよう十分な情報を提供し(インフォームド・コンセント)、自ら意思決定できるよう支援することが必要です。
  4. ✗ 苦痛や苦悩を引き起こしてはならない:無害(無危害)の原則(non-maleficence)の説明です。患者に害を与えてはならないという原則です。

医療倫理の4原則: 自律尊重・善行・無害(無危害)・正義

問題36​

准看護師制度が制定されたのはいつか。

  1. 昭和23(1948)年
  2. 昭和26(1951)年
  3. 昭和32(1957)年
  4. 平成元(1989)年

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 昭和23(1948)年:保健師助産師看護師法が制定された年です。この時点では准看護師制度はまだ存在していませんでした。
  2. ✓ 昭和26(1951)年:正解。昭和26(1951)年に保健師助産師看護師法が改正され、准看護師制度が新設されました。戦後の深刻な看護師不足を補うため、正看護師よりも短期間(2年)で養成できる准看護師制度が導入されました。
  3. ✗ 昭和32(1957)年:誤り。この年は准看護師制度の制定とは関係ありません。
  4. ✗ 平成元(1989)年:誤り。この年は准看護師制度の制定とは関係ありません。平成元年は昭和64年から改元された年です。

看護制度の歴史:

  • 昭和23(1948)年:保健師助産師看護師法制定
  • 昭和26(1951)年:准看護師制度新設
  • 平成13(2001)年:看護師等の人材確保の促進に関する法律制定

令和4年度(2024年)A日程​

問題1​

世界保健機関(WHO)が示す健康のとらえ方はどれか。

  1. 健全な精神は健全な身体に宿る
  2. 完全に良好な状態であり、人間の基本的権利である
  3. 病気でないことである
  4. 国民にとっての権利であり、国の責務である

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 健全な精神は健全な身体に宿る:古代ローマの詩人ユウェナリスの言葉「健全なる精神は健全なる身体に宿る」に由来する考え方ですが、WHO憲章の健康の定義ではありません。
  2. ✓ 完全に良好な状態であり、人間の基本的権利である:正解。WHO憲章では、健康を「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定義しています。また「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」としています。
  3. ✗ 病気でないことである:WHO憲章の定義では、健康は「単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と明記されており、病気がないだけでは健康とは言えません。身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態を健康としています。
  4. ✗ 国民にとっての権利であり、国の責務である:日本国憲法第25条(生存権)や各国の憲法・法律の考え方に近いですが、WHO憲章の健康の定義ではありません。

WHO憲章の健康の定義: 肉体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に病気や虚弱でないことではない

問題2​

セルフケアの観点から看護を説明した理論家は誰か。

  1. ナイチンゲール
  2. ロイ
  3. トラベルビー
  4. オレム

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ ナイチンゲール:「看護覚え書」の著者で、近代看護の基礎を築きました。看護の役割を「生命力の消耗を最小にするよう環境を整えること」と定義しました。環境を整えることで患者の自然治癒力を高めることを重視しましたが、セルフケア理論を提唱したわけではありません。
  2. ✗ ロイ:適応看護理論(Roy Adaptation Model)を提唱しました。人間を生理的様式、自己概念様式、役割機能様式、相互依存様式の4つの適応様式を持つ存在と捉え、これらの様式に適応できるよう看護が促すことを重視しました。
  3. ✗ トラベルビー:人間対人間の看護論を提唱しました。著書「人間対人間の看護(Human to Human Relationship Model)」で、看護を患者と看護師の人間的な相互作用のプロセスと捉えました。
  4. ✓ オレム:正解。ドロセア・オレム(Dorothea Orem)はセルフケア理論(Self-Care Theory)を提唱しました。セルフケアを「個人が生命、健康、安寧を維持するために自分自身で開始し、遂行する諸活動の実践である」と定義し、看護の役割をセルフケア能力を高めるよう支援することと位置づけました。

主な看護理論家と理論:

  • ナイチンゲール:環境調整論
  • ヘンダーソン:基本的ニード論(14の基本的ニード)
  • オレム:セルフケア理論
  • ロイ:適応看護理論(4つの適応様式)
  • トラベルビー:人間対人間の看護論

問題3​

准看護師について、正しいのはどれか。

  1. 厚生労働大臣の免許を受けて業務を行う
  2. 業務独占はない
  3. 診療の補助は医師の指示が必要である
  4. 医師の指示があれば、絶対的医療行為(絶対的医行為)ができる

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 厚生労働大臣の免許を受けて業務を行う:准看護師は都道府県知事の免許を受けて業務を行います。厚生労働大臣の免許を受けるのは看護師です。
  2. ✗ 業務独占はない:准看護師にも業務独占があります。保健師助産師看護師法により、准看護師は医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、療養上の世話または診療の補助を行うことができます。准看護師でない者がこれらの業務を行うことは禁止されています(名称独占と業務独占の両方があります)。
  3. ✓ 診療の補助は医師の指示が必要である:正解。保健師助産師看護師法第5条により、准看護師は「医師、歯科医師または看護師の指示を受けて」療養上の世話または診療の補助を行います。看護師は医師・歯科医師の指示で診療の補助を行いますが、准看護師はそれに加えて看護師の指示も受けることができます。
  4. ✗ 医師の指示があれば、絶対的医療行為(絶対的医行為)ができる:絶対的医行為(診断、処方、手術など)は医師・歯科医師のみが行える行為であり、看護師も准看護師も行うことはできません。准看護師が医師の指示で行えるのは相対的医行為(診療の補助として行う注射、採血、カテーテル挿入など)です。

看護師と准看護師の違い:

  • 看護師:厚生労働大臣の免許、医師・歯科医師の指示で診療の補助
  • 准看護師:都道府県知事の免許、医師・歯科医師・看護師の指示で診療の補助

問題4​

医療安全について、正しいのはどれか。

  1. ヒューマンエラーは起こりうることが前提である
  2. 過失では法的責任は問われない
  3. 事故後の再発防止のために個人の責任を追及する
  4. 看護職は医療事故の当事者となる可能性は低い

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ ヒューマンエラーは起こりうることが前提である:正解。ヒューマンエラー(人為的ミス)は、どんなに注意しても完全にゼロにすることはできません。医療安全対策では、「人は誰でも間違える」ことを前提として、エラーが発生しても重大な事故につながらないようなシステム(多重防護、フェイルセーフ、フールプルーフなど)を構築することが重要です。
  2. ✗ 過失では法的責任は問われない:過失による医療事故でも、民事責任(損害賠償)や刑事責任(業務上過失致死傷罪)、行政処分(免許取消・業務停止)が問われることがあります。ただし、故意の場合よりは責任が軽減されることがあります。
  3. ✗ 事故後の再発防止のために個人の責任を追及する:個人の責任を追及するだけでは再発防止にはつながりません。医療事故を個人の問題としてではなく、システムの問題として捉え、組織全体で原因を分析し、再発防止策を講じることが重要です。
  4. ✗ 看護職は医療事故の当事者となる可能性は低い:看護職は患者に最も近い位置で24時間ケアを提供しており、医療事故の当事者となる可能性は高いです。転倒・転落、誤薬、チューブ・ドレーン類の事故などは看護業務で多く発生します。

医療安全の基本的考え方:

  • ヒューマンエラーはゼロにできない(人は誰でも間違える)
  • 個人の責任追及ではなく、システムの改善が重要
  • 多重防護システムの構築(一つの対策が失敗しても、次の対策で事故を防ぐ)

問題5​

エリクソンの発達課題の組合せで、正しいのはどれか。

  1. 乳児期 - 積極性対罪悪感
  2. 幼児初期 - 自律感対恥・疑惑
  3. 青年期 - 勤勉対劣等感
  4. 壮年期 - 親密性対孤独

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 乳児期 - 積極性対罪悪感:乳児期(0〜1歳頃)の発達課題は「基本的信頼対不信」です。積極性対罪悪感は幼児後期(3〜6歳頃、遊戯期)の発達課題です。
  2. ✓ 幼児初期 - 自律感対恥・疑惑:正解。幼児初期(1〜3歳頃)の発達課題は「自律性対恥・疑惑」です。トイレトレーニングなどを通じて、自分でできることを増やし、自律性を獲得する時期です。うまくいかないと恥や疑惑の感情が生じます。
  3. ✗ 青年期 - 勤勉対劣等感:青年期(12〜22歳頃)の発達課題は「同一性(アイデンティティ)対役割混乱」です。勤勉対劣等感は学童期(6〜12歳頃)の発達課題です。
  4. ✗ 壮年期 - 親密性対孤独:壮年期(40〜65歳頃、成人中期)の発達課題は「生殖性(世代性)対停滞」です。親密性対孤立は成人初期(22〜40歳頃)の発達課題です。

エリクソンの8段階(漸成的発達理論):

  1. 乳児期(0〜1歳):基本的信頼対不信
  2. 幼児初期(1〜3歳):自律性対恥・疑惑
  3. 幼児後期(3〜6歳):積極性(自発性)対罪悪感
  4. 学童期(6〜12歳):勤勉性対劣等感
  5. 青年期(12〜22歳):同一性対役割混乱
  6. 成人初期(22〜40歳):親密性対孤立
  7. 成人中期(40〜65歳):生殖性(世代性)対停滞
  8. 成人後期(65歳以上):統合性対絶望

問題6​

被験者の自己決定権を示したのはどれか。

  1. ヒポクラテスの誓い
  2. ジュネーブ宣言
  3. アルマ・アタ宣言
  4. ニュルンベルク綱領

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ ヒポクラテスの誓い:古代ギリシャの医師ヒポクラテスが定めた医療倫理の誓いです。「患者に害を与えてはならない」「医療上知り得た秘密を守る」など、医師の職業倫理の基本が示されていますが、被験者の自己決定権について明確に示したものではありません。
  2. ✗ ジュネーブ宣言:1948年に世界医師会(WMA)が採択した、医師の職業倫理に関する宣言です。現代版のヒポクラテスの誓いとも呼ばれ、医師の倫理的責任を規定していますが、被験者の自己決定権について明確に示したものではありません。
  3. ✗ アルマ・アタ宣言:1978年にWHOと国連児童基金(UNICEF)が採択した、プライマリヘルスケアに関する宣言です。「すべての人に健康を」をスローガンとし、基本的医療の普及を目指しましたが、被験者の自己決定権について示したものではありません。
  4. ✓ ニュルンベルク綱領:正解。1947年にナチスの人体実験を裁いたニュルンベルク裁判の判決で示された、医学研究における倫理綱領です。第1条に「医学的研究においては、その被験者の自発的同意が本質的に絶対に必要である」と明記され、被験者の自己決定権(インフォームド・コンセント)の重要性が初めて国際的に示されました。

医療倫理に関する主な宣言・綱領:

  • ヒポクラテスの誓い(紀元前):医師の職業倫理の原点
  • ニュルンベルク綱領(1947年):被験者の自己決定権
  • ジュネーブ宣言(1948年):医師の倫理(現代版ヒポクラテスの誓い)
  • ヘルシンキ宣言(1964年):人を対象とする医学研究の倫理原則
  • リスボン宣言(1981年):患者の権利

問題7​

倫理的ジレンマの説明について、適切なのはどれか。

  1. 規則を疑うことである
  2. 自己正当化することである
  3. 相反する倫理的根拠に対して生じるものである
  4. 倫理的に選択することである

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 規則を疑うことである:規則やルールに疑問を持つことは批判的思考の一部ですが、倫理的ジレンマの説明ではありません。
  2. ✗ 自己正当化することである:自己正当化(合理化)は防衛機制の一つで、自分の行動や考えを正当化するために理由をつけることです。倫理的ジレンマとは異なります。
  3. ✓ 相反する倫理的根拠に対して生じるものである:正解。倫理的ジレンマとは、相反する複数の倫理的根拠や価値観が存在し、どちらも重要であるにもかかわらず、同時に満たすことができない状況で生じる葛藤や対立のことです。例えば、患者の自律尊重(延命治療を拒否する権利)と善行(患者の命を救う義務)が対立する場合などです。
  4. ✗ 倫理的に選択することである:倫理的な選択をすることは重要ですが、倫理的ジレンマの説明ではありません。倫理的ジレンマは、どちらを選択しても倫理的に問題が残る状況を指します。

倫理的ジレンマの例:

  • 終末期医療:延命治療の継続 vs 患者の苦痛軽減
  • 守秘義務:患者の秘密を守る vs 患者や他者の安全を守る
  • 資源配分:限られた医療資源をどう配分するか

問題8​

アンリ・デュナンによって設立された人々の救護活動と公衆衛生活動に貢献することをめざす団体はどれか。

  1. 国際看護師協会(ICN)
  2. 国際赤十字(IFRC)
  3. 世界保健機関(WHO)
  4. 世界医師会(WMA)

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 国際看護師協会(ICN):International Council of Nursesの略。1899年にイギリス、アメリカ、ドイツの看護師が中心となって設立された、世界最大の看護職の国際組織です。アンリ・デュナンが設立したものではありません。
  2. ✓ 国際赤十字(IFRC):正解。スイスの実業家アンリ・デュナン(Henri Dunant)が、1859年のイタリア統一戦争(ソルフェリーノの戦い)で多数の負傷兵が放置されている悲惨な状況を目撃し、1862年に「ソルフェリーノの思い出」を出版しました。これがきっかけとなり、1863年に赤十字国際委員会(ICRC)が設立され、1919年に国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が設立されました。戦時・平時を問わず、人道的救護活動と公衆衛生活動を行っています。
  3. ✗ 世界保健機関(WHO):World Health Organizationの略。1948年に国連の専門機関として設立されました。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的としています。アンリ・デュナンが設立したものではありません。
  4. ✗ 世界医師会(WMA):World Medical Associationの略。1947年に設立された、世界各国の医師会で構成される国際組織です。ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言などを採択しています。アンリ・デュナンが設立したものではありません。

赤十字の基本原則(7原則): 人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性


令和4年度(2024年)B日程​

問題9​

一次予防について、正しいのはどれか。

  1. 疾病の初期に行う予防のことである
  2. 障害された機能の維持や回復を目指すものである
  3. 健康診断を受けることである
  4. 健康の保持・増進を目指すものである

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 疾病の初期に行う予防のことである:疾病の初期に行う予防は二次予防(早期発見・早期治療)です。一次予防は疾病の発生そのものを防ぐことを目的とします。
  2. ✗ 障害された機能の維持や回復を目指すものである:これは三次予防(リハビリテーション)の説明です。障害が生じた後の機能維持・回復・社会復帰を目指すものです。
  3. ✗ 健康診断を受けることである:健康診断は二次予防に該当します。二次予防は疾病の早期発見・早期治療を目的とし、健康診断やがん検診などが含まれます。
  4. ✓ 健康の保持・増進を目指すものである:正解。一次予防は、疾病の発生を未然に防ぐための予防活動です。生活習慣の改善、健康教育、予防接種、環境整備などが含まれます。健康増進と疾病予防を目的としています。

予防医学の3段階:

  • 一次予防:健康増進・疾病予防(生活習慣改善、予防接種など)
  • 二次予防:早期発見・早期治療(健康診断、がん検診など)
  • 三次予防:機能維持・社会復帰(リハビリテーションなど)

問題10​

ホメオスタシスの定義はどれか。

  1. 有害な刺激形態に対する身体的防衛
  2. 生体の恒常性を維持する働き
  3. ストレスに伴う不快な感情を解消しようとする働き
  4. 精神的な均衡を保とうとする心の働き

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 有害な刺激形態に対する身体的防衛:免疫システムやストレス反応の一部を説明していますが、ホメオスタシスの定義ではありません。防御機構は恒常性維持の一部ではありますが、定義としては不十分です。
  2. ✓ 生体の恒常性を維持する働き:正解。ホメオスタシス(homeostasis、恒常性)は、生体が外部環境の変化に対して、内部環境(体温、血圧、血糖値、pH、浸透圧など)を一定の範囲内に保つ調節機能です。神経系と内分泌系が協調して働き、生命維持に不可欠な機能です。
  3. ✗ ストレスに伴う不快な感情を解消しようとする働き:コーピング(ストレス対処行動)や防衛機制の説明です。ホメオスタシスは主に生理的な恒常性維持を指し、心理的な適応とは区別されます。
  4. ✗ 精神的な均衡を保とうとする心の働き:心理的防衛機制や精神的適応の説明です。ホメオスタシスは主に身体的・生理的な恒常性維持を指します。

ホメオスタシスの例:

  • 体温調節(寒いと震え、暑いと発汗)
  • 血糖調節(インスリンとグルカゴン)
  • 血圧調節(自律神経系とホルモン)
  • 水分・電解質バランス

問題11​

パートナーシップナーシングシステム(PNS)について、適切なのはどれか。

  1. 業務別に分担を決めて行う
  2. 1人の看護師が受け持った患者の看護をすべて行う
  3. 患者の入院から退院まで看護を一貫して受け持つ
  4. 2人の看護師が互いに協力しながら複数の患者を受け持つ

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 業務別に分担を決めて行う:機能別看護方式(業務別看護方式)の説明です。検温、注射、処置などの業務ごとに担当を決めて分業する方式です。
  2. ✗ 1人の看護師が受け持った患者の看護をすべて行う:受持ち看護方式の説明です。1勤務内で1人の看護師が数人の患者を受け持ち、すべての看護を行う方式です。
  3. ✗ 患者の入院から退院まで看護を一貫して受け持つ:プライマリーナーシングの説明です。1人のプライマリーナースが入院から退院まで一貫して責任を持って受け持つ方式です。
  4. ✓ 2人の看護師が互いに協力しながら複数の患者を受け持つ:正解。パートナーシップナーシングシステム(PNS)は、2人の看護師がペアを組み、対等なパートナーとして互いの知識・技術・経験を補完し合いながら複数の患者を受け持つ方式です。福井大学医学部附属病院で開発された日本発の看護提供システムで、安全性向上、新人教育、精神的サポートなどの効果があります。

主な看護方式:

  • 機能別看護方式:業務ごとに分担
  • 受持ち看護方式:1勤務内で担当患者を受け持つ
  • チームナーシング:チームで患者を受け持つ
  • プライマリーナーシング:入院から退院まで一貫して受け持つ
  • PNS:2人でペアを組んで受け持つ

問題12​

トリアージタグについて、正しいのはどれか。

  1. 生命徴候がない状態は赤色である
  2. 最優先に治療が必要な状態は黄色である
  3. 待機可能な状態は青色である
  4. 歩行可能な状態は緑色である

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 生命徴候がない状態は赤色である:誤り。生命徴候がない(心肺停止、死亡または救命不可能)状態は黒色です。赤色は生命の危険がある重症者(最優先治療群)を示します。
  2. ✗ 最優先に治療が必要な状態は黄色である:誤り。最優先治療群(第1群)は赤色です。黄色は待機的治療群(第2群)で、治療が必要だが多少遅れても生命に危険がない中等症者を示します。
  3. ✗ 待機可能な状態は青色である:誤り。トリアージタグに青色は使用されません。標準的なトリアージタグの色は、黒・赤・黄・緑の4色です。
  4. ✓ 歩行可能な状態は緑色である:正解。緑色は保留群(第3群)で、軽症者を示します。自力で歩行可能な傷病者は緑色に分類され、治療の優先度が最も低くなります。START法では、最初に「歩けるか?」を確認し、歩ける人を緑色に分類します。

トリアージタグの色と分類:

  • 黒(第0群):死亡または救命不可能
  • 赤(第1群):最優先治療群(重症、直ちに治療が必要)
  • 黄(第2群):待機的治療群(中等症、多少遅れてもよい)
  • 緑(第3群):保留群(軽症、歩行可能)

問題13​

災害サイクルについて、正しいのはどれか。

  1. 災害発生からの時間経過をサイクルとして捉えた概念である
  2. 災害発生から3日間を亜急性期としている
  3. 静穏期には個人差に目を向けて生活支援を行う
  4. 復興期には災害に備えて防災訓練を行う

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 災害発生からの時間経過をサイクルとして捉えた概念である:正解。災害サイクルは、災害の発生から復興、そして次の災害への備えまでを時間的経過で段階的に捉えた概念です。発災前(静穏期)→発災期→急性期→亜急性期→慢性期→復興期→静穏期と循環します。
  2. ✗ 災害発生から3日間を亜急性期としている:誤り。災害発生から72時間(3日間)は急性期(超急性期を含む)です。亜急性期は発災後約4日目〜1ヶ月程度の時期で、避難所生活が本格化し、感染症対策やメンタルヘルスケアが重要になります。
  3. ✗ 静穏期には個人差に目を向けて生活支援を行う:誤り。静穏期は災害が発生していない平常時で、次の災害への備え(防災訓練、避難計画策定、物資備蓄など)を行う時期です。個人差に目を向けた生活支援は、慢性期や復興期の活動です。
  4. ✗ 復興期には災害に備えて防災訓練を行う:誤り。防災訓練は静穏期(平常時)に行う活動です。復興期は、被災者の生活再建、地域コミュニティの再構築、心のケア、経済活動の回復などを行う時期です。

災害サイクルの各期と主な活動:

  • 静穏期:防災訓練、計画策定、物資備蓄
  • 急性期(72時間):救命・救助活動、トリアージ
  • 亜急性期(〜1ヶ月):避難所運営、感染症対策
  • 慢性期・復興期:生活再建、心のケア

問題14​

看護師にとっての守秘義務について、正しいのはどれか。

  1. 医療に関わる情報に限定される
  2. 氏名は該当しない
  3. 情報開示には本人の同意が必要である
  4. 保健師助産師看護師法には規定されていない

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 医療に関わる情報に限定される:誤り。守秘義務の対象は医療情報だけでなく、業務上知り得たすべての個人情報(住所、家族関係、経済状況、生活習慣など)が含まれます。
  2. ✗ 氏名は該当しない:誤り。氏名は最も基本的な個人情報であり、守秘義務の対象です。個人情報保護法でも、個人を識別できる情報として保護されています。
  3. ✓ 情報開示には本人の同意が必要である:正解。個人情報を第三者に開示・提供する際は、原則として本人の同意が必要です。ただし、法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合などは例外となります。
  4. ✗ 保健師助産師看護師法には規定されていない:誤り。保健師助産師看護師法第42条の2に「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなった後においても、同様とする」と明確に規定されています。

守秘義務のポイント:

  • 業務上知り得たすべての個人情報が対象
  • 退職後も守秘義務は継続
  • 違反した場合は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金

問題15​

倫理原則の「自律尊重の原則」はどれか。

  1. 他人に公正でなければならない
  2. 他人の権利を保護・擁護する
  3. 必要な情報を提供し自己決定を支援する
  4. 苦痛や苦悩を引き起こしてはならない

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 他人に公正でなければならない:正義の原則(justice)の説明です。医療資源の配分や利益・負担を公平・平等に行うことを求める原則です。
  2. ✗ 他人の権利を保護・擁護する:アドボカシー(権利擁護)の説明です。看護師の重要な役割の一つですが、倫理原則の「自律尊重」そのものではありません。
  3. ✓ 必要な情報を提供し自己決定を支援する:正解。自律尊重の原則(autonomy)は、患者が自分自身の意思で決定する権利を尊重することです。そのためには、患者が理解できるよう十分な情報を提供し(インフォームド・コンセント)、患者自身が自己決定できるよう支援することが必要です。患者の行動を制限したり、干渉したりしないことも含まれます。
  4. ✗ 苦痛や苦悩を引き起こしてはならない:無害(無危害)の原則(non-maleficence)の説明です。患者に害を与えてはならないという原則です。

医療倫理の4原則(ビーチャム&チルドレス):

  • 自律尊重(autonomy):患者の自己決定を尊重
  • 善行(beneficence):患者の利益のために行動
  • 無害(non-maleficence):患者に害を与えない
  • 正義(justice):公平・平等に扱う

問題16​

准看護師制度が制定されたのはいつか。

  1. 昭和23(1948)年
  2. 昭和26(1951)年
  3. 昭和32(1957)年
  4. 平成元(1989)年

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 昭和23(1948)年:保健師助産師看護師法(当時は保健婦助産婦看護婦法)が制定された年です。この時点では准看護師制度はまだ存在せず、看護師(看護婦)のみが規定されていました。
  2. ✓ 昭和26(1951)年:正解。昭和26(1951)年に保健婦助産婦看護婦法が改正され、准看護師(当時は准看護婦)制度が創設されました。戦後の深刻な看護師不足を解消するため、「当面の間の措置」として、正看護師よりも短い修業年限(2年)で養成できる准看護師制度が導入されました。
  3. ✗ 昭和32(1957)年:准看護師制度の制定年ではありません。この年には特に大きな法改正はありませんでした。
  4. ✗ 平成元(1989)年:准看護師制度の制定年ではありません。この頃は准看護師制度の廃止論議が始まった時期です。

日本の看護制度の歴史:

  • 昭和23(1948)年:保健婦助産婦看護婦法制定
  • 昭和26(1951)年:准看護婦制度創設
  • 平成13(2001)年:看護師等の人材確保促進法制定
  • 平成14(2002)年:「看護婦」から「看護師」へ名称変更

令和3年度(2023年)A日程​

問題17​

ヘルスプロモーションが提唱されたのはどれか。

  1. オタワ憲章
  2. WHO憲章
  3. 健康日本21
  4. ヘルシンキ宣言

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ オタワ憲章:正解。1986年にカナダのオタワで開催された第1回ヘルスプロモーション国際会議において採択されました。ヘルスプロモーションを「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義しました。「すべての人々に健康を」をスローガンに、健康的な公共政策の確立、健康を支援する環境づくり、地域活動の強化、個人技術の開発、ヘルスサービスの方向転換の5つの活動領域を示しました。
  2. ✗ WHO憲章:1946年に採択され、1948年に発効したWHO(世界保健機関)の基本文書です。健康の定義「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」が示されていますが、ヘルスプロモーションの提唱ではありません。
  3. ✗ 健康日本21:2000年に開始された日本の国民健康づくり運動です。ヘルスプロモーションの理念を取り入れていますが、ヘルスプロモーションを最初に提唱したものではありません。
  4. ✗ ヘルシンキ宣言:1964年に世界医師会(WMA)が採択した、人を対象とする医学研究の倫理的原則に関する宣言です。インフォームド・コンセントや被験者保護について規定していますが、ヘルスプロモーションとは関係ありません。

ヘルスプロモーションの5つの活動領域: 健康的な公共政策・支援的環境・地域活動の強化・個人技術の開発・ヘルスサービスの方向転換

問題18​

インフォームドコンセントについて、適切なのはどれか。

  1. 知る権利に基づくものである
  2. 患者には拒否する権利はない
  3. 1回説明すればよい
  4. 看護行為の際は必要ない

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 知る権利に基づくものである:正解。インフォームド・コンセント(説明と同意)は、患者の「知る権利」と「自己決定権」に基づいています。患者は自分の病状や治療内容について十分な説明を受ける権利があり、その情報に基づいて治療を受けるかどうかを自分で決定する権利があります。
  2. ✗ 患者には拒否する権利はない:誤り。患者には治療を拒否する権利があります。インフォームド・コンセントは同意だけでなく、拒否も含みます。十分な説明を受けた上で、治療を拒否することも患者の自己決定権として認められています。
  3. ✗ 1回説明すればよい:誤り。インフォームド・コンセントは一度だけでなく、継続的なプロセスです。病状の変化や新たな治療選択肢が生じた場合は、再度説明し同意を得る必要があります。また、患者が十分に理解できるまで繰り返し説明することが重要です。
  4. ✗ 看護行為の際は必要ない:誤り。看護行為においてもインフォームド・コンセントは必要です。処置や検査の介助、日常生活援助など、看護ケアを実施する際にも、その目的や方法を説明し、同意を得ることが求められます。

インフォームド・コンセントの要件:

  • 十分な情報提供(説明)
  • 患者の理解
  • 自発的な同意(強制がない)

問題19​

マズローのニード(欲求)の階層について、最も底辺(基本的)なのはどれか。

  1. 安全のニード
  2. 生理的ニード
  3. 所属と愛のニード
  4. 自己実現のニード

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 安全のニード:第2層に位置する欲求です。身体的・経済的・心理的な安全や安定を求める欲求で、生理的ニードが満たされた後に現れます。
  2. ✓ 生理的ニード:正解。マズローの欲求階層説において、最も底辺(基本的)に位置する欲求です。食事、水分、睡眠、排泄、呼吸など、生命維持に直接関わる生理的欲求です。これが満たされないと、他の欲求は生じにくいとされています。
  3. ✗ 所属と愛のニード:第3層に位置する欲求です。他者との関係、集団への帰属、愛情を求める社会的欲求です。安全のニードが満たされた後に現れます。
  4. ✗ 自己実現のニード:最上位(第5層)に位置する欲求です。自分の能力を最大限に発揮し、理想の自分になりたいという成長欲求です。他のすべての欲求が満たされた後に追求されます。

マズローの欲求階層(下から順に):

  1. 生理的ニード(食事、睡眠、排泄など)
  2. 安全のニード(安全、安定、保護)
  3. 所属と愛のニード(帰属、愛情、友情)
  4. 承認のニード(自尊心、他者からの承認)
  5. 自己実現のニード(自己の可能性の追求)

問題20​

保健医療福祉施設について、正しいのはどれか。

  1. 診療所は入院させるための施設を持たないものをいう
  2. 病院は20床以上の入院させるための施設(病床)を有するものをいう
  3. 訪問看護ステーションはリハビリテーションは行わない
  4. 介護老人保健施設は要支援者が入所できる

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 診療所は入院させるための施設を持たないものをいう:不完全な説明です。医療法では、診療所は「病床を有さないもの」または「19床以下の病床を有するもの」と定義されています。つまり、病床がなくても、19床以下であれば病床を持つ診療所(有床診療所)も存在します。
  2. ✓ 病院は20床以上の入院させるための施設(病床)を有するものをいう:正解。医療法第1条の5により、病院は「20床以上の病床を有するもの」と定義されています。これにより病院と診療所が区別されます。
  3. ✗ 訪問看護ステーションはリハビリテーションは行わない:誤り。訪問看護ステーションでは、看護師による訪問看護だけでなく、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)による訪問リハビリテーションも行われています。
  4. ✗ 介護老人保健施設は要支援者が入所できる:誤り。介護老人保健施設(老健)は、要介護1〜5の認定を受けた方が対象です。要支援者は入所対象外です。要支援者は介護予防サービスの対象となります。

医療施設の区分:

  • 病院:20床以上の病床を有する
  • 診療所:病床なし、または19床以下
  • 特定機能病院:高度医療を提供(400床以上)
  • 地域医療支援病院:地域医療の中核(200床以上)

問題21​

患者自身で治療を選択できるように支援するのは、どの倫理原則に基づくものか。

  1. 自律尊重の原則
  2. 善行の原則
  3. 無危害の原則
  4. 正義の原則

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 自律尊重の原則:正解。自律尊重の原則(autonomy)は、患者が自らの意思で決定する権利を尊重することです。患者が治療を選択できるよう十分な情報を提供し、自己決定を支援することは、この原則に基づく行為です。インフォームド・コンセントの基盤となる原則です。
  2. ✗ 善行の原則:善行の原則(beneficence)は、患者にとって最善の利益をもたらす行為を行うことです。患者のためになる行為を積極的に行うことを求めますが、患者の自己決定支援とは異なります。
  3. ✗ 無危害の原則:無危害の原則(non-maleficence)は、患者に害を与えないこと、危害を加えないことです。「まず害を与えるな」という医療の基本原則ですが、患者の選択支援とは異なります。
  4. ✗ 正義の原則:正義の原則(justice)は、医療資源の公平・公正な配分や、患者を平等に扱うことを求める原則です。患者個人の選択支援とは異なる概念です。

医療倫理の4原則:

  • 自律尊重:患者の自己決定権の尊重
  • 善行:患者の利益のための行動
  • 無危害:患者に害を与えない
  • 正義:公平・平等な対応

問題22​

患者の自己決定権を明確にしたのはどれか。

  1. ジュネーブ宣言
  2. アルマ・アタ宣言
  3. ヒポクラテスの誓い
  4. リスボン宣言

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ ジュネーブ宣言:1948年に世界医師会(WMA)が採択した、医師の職業倫理に関する宣言です。現代版ヒポクラテスの誓いとも呼ばれ、医師としての責務や患者への奉仕を誓うものですが、患者の権利を明文化したものではありません。
  2. ✗ アルマ・アタ宣言:1978年にWHOとUNICEFが採択した、プライマリヘルスケアに関する宣言です。「2000年までにすべての人に健康を」をスローガンに、基本的医療の普及を目指しましたが、患者の自己決定権に関する宣言ではありません。
  3. ✗ ヒポクラテスの誓い:古代ギリシャの医師ヒポクラテスによる医療倫理の原点です。「患者に害を与えない」「秘密を守る」などの医師の義務が示されていますが、患者の権利を明文化したものではありません。
  4. ✓ リスボン宣言:正解。1981年に世界医師会(WMA)が採択した「患者の権利に関するリスボン宣言」です。良質の医療を受ける権利、選択の自由の権利、自己決定の権利、情報に関する権利、機密保持を求める権利、健康教育を受ける権利、尊厳を得る権利などが明文化されています。

主な医療倫理に関する宣言:

  • ヒポクラテスの誓い:医師の倫理の原点
  • ジュネーブ宣言(1948年):医師の職業倫理
  • ヘルシンキ宣言(1964年):人を対象とする医学研究の倫理
  • リスボン宣言(1981年):患者の権利

令和3年度(2023年)B日程​

問題23​

健康寿命の延伸が示されたのはどれか。

  1. アルマ・アタ宣言
  2. オタワ憲章
  3. ゴールドプラン21
  4. 健康日本21

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ アルマ・アタ宣言:1978年にWHOとUNICEFが採択した、プライマリヘルスケアに関する宣言です。「2000年までにすべての人に健康を」をスローガンとし、基本的医療の普及を目指しましたが、健康寿命の延伸については示されていません。
  2. ✗ オタワ憲章:1986年に採択された、ヘルスプロモーションに関する憲章です。人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセスを示しましたが、健康寿命の延伸を具体的に示したものではありません。
  3. ✗ ゴールドプラン21:正式名称は「今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向(新ゴールドプラン)」の後継計画です。高齢者介護・福祉サービスの基盤整備を目的としており、健康寿命の延伸を主目的としたものではありません。
  4. ✓ 健康日本21:正解。2000年に厚生省(現厚生労働省)が策定した「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を基本目標として掲げています。生活習慣病の予防、心の健康、栄養・食生活、身体活動・運動などの分野で具体的な数値目標が設定されました。

健康日本21の基本目標:

  • 健康寿命の延伸
  • 健康格差の縮小
  • 生活習慣病の発症予防と重症化予防
  • 社会生活を営むために必要な機能の維持向上

問題24​

受け持ち制看護方式について、正しいのはどれか。

  1. 1人の看護師が1人または数人の患者を受け持つ
  2. 分業化して業務を分担する
  3. チームを組んで看護を行う
  4. 入院から退院まで責任をもって受け持つ

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 1人の看護師が1人または数人の患者を受け持つ:正解。受け持ち制看護方式は、1勤務帯において1人の看護師が数人の患者を担当し、その患者に対する看護全般を行う方式です。患者との信頼関係が築きやすく、個別性のある看護が提供できる利点があります。
  2. ✗ 分業化して業務を分担する:機能別看護方式(業務別看護方式)の説明です。検温係、注射係、処置係などのように業務ごとに担当を決めて分業する方式です。効率的ですが、継続的・全人的な看護が難しくなります。
  3. ✗ チームを組んで看護を行う:チームナーシングの説明です。看護師がチームを組み、チームリーダーの下で複数の患者を協力して受け持つ方式です。チーム内での情報共有や相互支援が特徴です。
  4. ✗ 入院から退院まで責任をもって受け持つ:プライマリーナーシングの説明です。1人の看護師(プライマリーナース)が患者の入院から退院まで一貫して責任を持ち、24時間体制で看護計画を立案・実施・評価する方式です。

主な看護方式の比較:

  • 受け持ち制:1勤務帯で担当患者を受け持つ
  • 機能別:業務ごとに分担
  • チームナーシング:チームで協力して看護
  • プライマリーナーシング:入院から退院まで一貫して担当

問題25​

ロイが述べている看護の考え方について、適切なのはどれか。

  1. 基本的ニードを満たすよう援助する
  2. 人間が4つの適応様式に適応できるように促す
  3. 生命力の消耗を最小にするよう整える
  4. セルフケア能力を高めるよう支援する

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 基本的ニードを満たすよう援助する:ヴァージニア・ヘンダーソンの看護理論です。ヘンダーソンは14の基本的ニードを提唱し、これらのニードを満たすよう援助することが看護の役割であると述べました。
  2. ✓ 人間が4つの適応様式に適応できるように促す:正解。シスター・カリスタ・ロイの適応看護理論(Roy Adaptation Model)です。ロイは人間を4つの適応様式(生理的様式、自己概念様式、役割機能様式、相互依存様式)を持つ適応システムと捉え、看護の役割は人間がこれらの様式に適応できるよう促進することであると述べました。
  3. ✗ 生命力の消耗を最小にするよう整える:フローレンス・ナイチンゲールの看護理論です。ナイチンゲールは「看護覚え書」の中で、看護とは新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さなどを整え、患者の生命力の消耗を最小にすることと述べました。
  4. ✗ セルフケア能力を高めるよう支援する:ドロセア・オレムのセルフケア理論です。オレムは看護の役割をセルフケア能力を高めるよう支援することと位置づけました。

主な看護理論家と理論:

  • ナイチンゲール:環境調整論(生命力の消耗を最小に)
  • ヘンダーソン:基本的ニード論(14の基本的ニード)
  • オレム:セルフケア理論
  • ロイ:適応看護理論(4つの適応様式)

問題26​

スキャモンによる人間の発育曲線(下図)で矢印が示すのはどれか。

Scammon's Growth Curve

  1. リンパ系型
  2. 神経系型
  3. 一般型
  4. 生殖器(系)型

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ リンパ系型:リンパ系型は、6歳頃から急激に発育し、10〜12歳頃に成人の約180〜200%に達するのが特徴です。その後、思春期以降は徐々に低下して成人レベル(100%)に落ち着きます。免疫機能に関係する発育パターンです。
  2. ✓ 神経系型:正解。神経系型は、出生直後から急速に発育し、4〜5歳で成人の約80%、8歳頃までにほぼ100%近くに達するのが特徴です。脳、脊髄、視覚器などの発育パターンを示します。早期に発達が完了するため、幼児期の教育や刺激が重要とされています。
  3. ✗ 一般型:一般型は、身長、体重、骨格、筋肉、内臓などの身体的成長を表します。乳児期に急速に発育した後、学童期は緩やかに成長し、思春期に再び急速に発育して成人レベルに達します。S字型のカーブを描きます。
  4. ✗ 生殖器(系)型:生殖器型は、思春期まではほとんど発育せず(10%程度)、思春期に入ると急激に発育して成人レベルに達するのが特徴です。性腺や生殖器の発育パターンを示します。

スキャモンの発育曲線:

  • 神経系型:早期に急速発達(8歳で約100%)
  • リンパ系型:学童期に最大(約180%)、その後低下
  • 一般型:S字型カーブ(乳児期と思春期に急成長)
  • 生殖器型:思春期に急速発達

問題27​

災害看護について、適切なのはどれか。

  1. 人的災害は含まない
  2. 災害が落ちついてから看護を行う
  3. 自然災害は減少傾向にある
  4. 感染症予防を行う

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 人的災害は含まない:誤り。災害看護は自然災害だけでなく、人的災害(テロ、事故、火災など)や特殊災害(CBRNE:化学・生物・放射線・核・爆発物)も対象に含みます。あらゆる災害の被災者に対する看護活動が災害看護です。
  2. ✗ 災害が落ちついてから看護を行う:誤り。災害看護は災害発生直後(超急性期)から開始されます。救命救急活動、トリアージ、応急処置など、災害発生直後から看護師の活動が求められます。災害サイクルのすべての段階で看護活動が行われます。
  3. ✗ 自然災害は減少傾向にある:誤り。気候変動の影響などにより、世界的に自然災害(台風、洪水、地震など)は増加傾向にあります。日本でも毎年のように大規模な自然災害が発生しています。
  4. ✓ 感染症予防を行う:正解。災害看護において、避難所での感染症予防は重要な看護活動の一つです。避難所では多くの人が密集して生活するため、インフルエンザ、ノロウイルス、感染性胃腸炎などの集団感染リスクが高まります。手指衛生、環境衛生、健康観察、隔離対策などの感染対策が重要です。

災害看護の活動:

  • 急性期:トリアージ、救命処置、応急処置
  • 亜急性期:避難所での健康管理、感染症予防
  • 慢性期・復興期:心のケア、生活再建支援

問題28​

フライの看護倫理のうち守秘義務はどれか。

  1. 忠誠の原則
  2. 正義の原則
  3. 善行の原則
  4. 自律の原則

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 忠誠の原則:正解。サラ・フライ(Sara Fry)の看護倫理における忠誠の原則(fidelity)は、患者との約束を守り、信頼関係を維持することを意味します。この原則には守秘義務(患者の秘密を守る)が含まれます。患者から得た情報を許可なく他者に漏らさないことは、忠誠の原則の重要な要素です。
  2. ✗ 正義の原則:正義の原則(justice)は、患者を公平・平等に扱うことを意味します。医療資源の公正な配分、差別のない対応などが含まれます。守秘義務とは異なる概念です。
  3. ✗ 善行の原則:善行の原則(beneficence)は、患者にとって善い行いをすること、患者の利益のために行動することを意味します。害を避けて善を行うことであり、守秘義務とは異なります。
  4. ✗ 自律の原則:自律の原則(autonomy)は、患者の自己決定権を尊重することを意味します。患者が自分の治療について自ら決定する権利を認めることであり、守秘義務とは異なります。

フライの看護倫理の原則:

  • 自律尊重:患者の自己決定を尊重
  • 善行:患者の利益のために行動
  • 無害:患者に害を与えない
  • 正義:公平・平等に扱う
  • 忠誠:約束を守る(守秘義務を含む)
  • 誠実:真実を伝える

令和2年度(2022年)A日程​

問題29​

健康状態に応じた看護活動について、適切なのはどれか。

  1. 急性期は、日常生活の自立に向けた援助を優先する
  2. 回復期は、その人らしい生活ができることを優先する
  3. 慢性期は、症状改善に向けた援助を優先する
  4. 終末期は、安らかな死を迎えられるように援助する

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 急性期は、日常生活の自立に向けた援助を優先する:誤り。急性期は生命の危機状態にあり、症状の改善・安定化を優先する時期です。バイタルサインの観察、症状のモニタリング、治療の補助などが優先されます。日常生活の自立に向けた援助は回復期・リハビリテーション期の活動です。
  2. ✗ 回復期は、その人らしい生活ができることを優先する:誤り。回復期は機能回復に向けたリハビリテーションや日常生活動作(ADL)の自立支援を優先する時期です。「その人らしい生活ができること」は慢性期の目標に近い表現です。
  3. ✗ 慢性期は、症状改善に向けた援助を優先する:誤り。慢性期は疾患と共存しながら生活する時期であり、完全な症状改善は難しいことが多いです。QOL(生活の質)の維持・向上、症状の悪化予防、セルフケア能力の維持、その人らしい生活の支援が優先されます。
  4. ✓ 終末期は、安らかな死を迎えられるように援助する:正解。終末期は治癒が望めず、死が近づいている時期です。身体的苦痛の緩和、精神的サポート、尊厳を保った看取り、家族へのケアなど、安らかな死(尊厳死)を迎えられるようにすることが看護の目標です。

経過別看護の特徴:

  • 急性期:生命の維持、症状の安定化が優先
  • 回復期:リハビリテーション、ADL自立支援
  • 慢性期:QOL維持、セルフケア支援
  • 終末期:苦痛緩和、尊厳ある看取り

問題30​

発達的に幼稚な段階に戻る自我の防衛機制はどれか。

  1. 逃避
  2. 代償
  3. 転換
  4. 退行

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 逃避:不安や困難な状況から心理的・物理的に逃れようとする防衛機制です。問題に直面することを避け、現実逃避する行動です。発達段階を戻るのではなく、状況から離れることです。
  2. ✗ 代償:ある目標が達成できない時に、別の目標を達成することで満足を得ようとする防衛機制です。例えば、勉強が苦手な人がスポーツで成功を目指すなどです。発達段階の後退ではありません。
  3. ✗ 転換:心理的な葛藤やストレスが身体症状として現れる防衛機制です。例えば、ストレスで声が出なくなる(転換性障害)などです。発達段階の後退とは異なります。
  4. ✓ 退行:正解。退行(regression)は、心理的なストレスや葛藤に直面した時に、現在の発達段階より以前の未熟な段階に戻る防衛機制です。例えば、弟や妹が生まれた時に幼児が「赤ちゃん返り」をして指しゃぶりや夜尿をする、入院中の成人が甘えた行動をとるなどがあります。

主な防衛機制:

  • 退行:発達段階を後退する
  • 逃避:問題から逃げる
  • 抑圧:意識から追い出す
  • 合理化:理屈をつけて正当化
  • 投影:自分の感情を他者のものとする

問題31​

准看護師制度が制定されたのはいつか。

  1. 昭和23(1948)年
  2. 昭和26(1951)年
  3. 昭和32(1957)年
  4. 昭和39(1964)年

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 昭和23(1948)年:保健婦助産婦看護婦法が制定された年です。この法律で看護婦(現在の看護師)の資格が定められましたが、准看護師制度はまだ存在していませんでした。
  2. ✓ 昭和26(1951)年:正解。昭和26(1951)年に保健婦助産婦看護婦法が改正され、准看護婦(現在の准看護師)制度が創設されました。戦後の深刻な看護師不足を解消するため、「当面の間の措置」として導入されました。
  3. ✗ 昭和32(1957)年:准看護師制度の制定年ではありません。この頃は准看護師養成所が各地に設立されていた時期です。
  4. ✗ 昭和39(1964)年:准看護師制度の制定年ではありません。東京オリンピックが開催された年です。

日本の看護制度の歴史:

  • 昭和23(1948)年:保健婦助産婦看護婦法制定
  • 昭和26(1951)年:准看護婦制度創設
  • 平成14(2002)年:「看護婦・准看護婦」から「看護師・准看護師」へ名称変更

問題32​

看護活動でないのはどれか。

  1. 診療の補助
  2. 相談・指導・調整
  3. 療養上の世話
  4. 診断・処方

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 診療の補助:看護師の業務です。保健師助産師看護師法第5条により、看護師は「傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする」と定められています。注射、採血、検査の介助などが診療の補助に含まれます。
  2. ✗ 相談・指導・調整:看護師の重要な役割です。患者や家族への健康相談、退院指導、他職種との連携・調整など、看護活動として広く行われています。
  3. ✗ 療養上の世話:看護師の業務です。保健師助産師看護師法に規定された看護師の業務の一つで、食事、清潔、排泄、移動、睡眠などの日常生活援助が含まれます。
  4. ✓ 診断・処方:正解。診断(疾病の判定)と処方(薬剤の指示)は医師または歯科医師のみが行える医行為(絶対的医行為)です。看護師は診療の補助として医師の指示のもとで行動しますが、診断・処方そのものを行うことはできません。

看護師の業務:

  • 療養上の世話:日常生活援助
  • 診療の補助:医師の指示のもとで行う医療行為
  • 相談・指導・調整:患者教育、退院支援、多職種連携

問題33​

事前指示書(生前発効遺言書)について、誤っているのはどれか。

  1. リビングウィルと呼ばれる
  2. 意思決定能力がある間に文書で作成する
  3. 家族や医療従事者にとって意思決定の手がかりとなる
  4. 法的に位置付けられている

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ リビングウィルと呼ばれる:正しい記述です。事前指示書は「リビングウィル(Living Will)」「生前発効遺言書」「事前指示」などと呼ばれます。終末期医療に関する自分の希望を事前に文書で示すものです。
  2. ✗ 意思決定能力がある間に文書で作成する:正しい記述です。事前指示書は、本人の意思決定能力が十分にある間に、将来の終末期医療についての希望を文書で作成します。認知症などで判断能力が低下した後では有効な事前指示書は作成できません。
  3. ✗ 家族や医療従事者にとって意思決定の手がかりとなる:正しい記述です。本人が意思表示できなくなった場合、事前指示書は家族や医療チームが治療方針を決定する際の重要な手がかりとなります。本人の意思を尊重したケアを実現するための文書です。
  4. ✓ 法的に位置付けられている:誤った記述です(正解)。日本では事前指示書に関する法律は定められておらず、法的拘束力はありません。ただし、医療現場では本人の意思表示として尊重され、治療方針の決定に活用されています。アメリカなどでは法的に位置付けられている国もあります。

事前指示書のポイント:

  • 終末期医療に関する本人の希望を示す文書
  • 法的拘束力はないが、医療現場で尊重される
  • いつでも撤回・変更が可能

令和2年度(2022年)B日程​

問題34​

健康の概念について、正しいのはどれか。

  1. WHO憲章では、「健康とは、疾病や虚弱がないことである」としている
  2. 日本国憲法では、健康は国民の義務として位置づけられている
  3. ヘルスプロモーションとは、人々が自分の健康をコントロールし改善することを増大させようとするプロセスである
  4. オタワ憲章では、プライマリヘルスケアの考え方が提唱された

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ WHO憲章では、「健康とは、疾病や虚弱がないことである」としている:誤り。WHO憲章では、健康を「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定義しています。単に病気がないだけでは健康とは言えないとしています。
  2. ✗ 日本国憲法では、健康は国民の義務として位置づけられている:誤り。日本国憲法第25条1項では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定されており、健康は国民の「権利」として位置づけられています。義務ではありません。
  3. ✓ ヘルスプロモーションとは、人々が自分の健康をコントロールし改善することを増大させようとするプロセスである:正解。1986年のオタワ憲章で、ヘルスプロモーションは「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義されました。健康づくりを個人だけでなく、社会環境も含めて推進する考え方です。
  4. ✗ オタワ憲章では、プライマリヘルスケアの考え方が提唱された:誤り。プライマリヘルスケアの考え方が提唱されたのは1978年のアルマ・アタ宣言です。オタワ憲章(1986年)ではヘルスプロモーションの考え方が提唱されました。

健康に関する主な宣言:

  • WHO憲章(1946年):健康の定義
  • アルマ・アタ宣言(1978年):プライマリヘルスケア
  • オタワ憲章(1986年):ヘルスプロモーション

問題35​

ナイチンゲールは、人間をどのような存在と捉えたか。

  1. 自然治癒力を持つ
  2. 共通の基本的ニードを持つ
  3. セルフケア能力を持つ
  4. 環境に適応して生活する

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 自然治癒力を持つ:正解。フローレンス・ナイチンゲールは、人間は本来自然治癒力(回復力)を持つ存在であると捉えました。看護の役割は、患者の自然治癒力が最大限に発揮できるよう、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔、静けさなどの環境を整えることであると述べました。
  2. ✗ 共通の基本的ニードを持つ:ヴァージニア・ヘンダーソンの考え方です。ヘンダーソンは人間に共通する14の基本的ニードを提唱し、それを満たすことが看護の役割であると述べました。
  3. ✗ セルフケア能力を持つ:ドロセア・オレムの考え方です。オレムは人間をセルフケア能力を持つ存在と捉え、その能力が不足した時に看護が介入するとしました。
  4. ✗ 環境に適応して生活する:シスター・カリスタ・ロイの考え方です。ロイは人間を適応システムとして捉え、環境からの刺激に対して4つの適応様式で適応する存在としました。

主な看護理論家の人間観:

  • ナイチンゲール:自然治癒力を持つ存在
  • ヘンダーソン:基本的ニードを持つ存在
  • オレム:セルフケア能力を持つ存在
  • ロイ:環境に適応する存在

問題36​

診療所について、正しいのはどれか。

  1. 高度な診断・治療・看護が行われる施設である
  2. 20人以上の入院施設を持つ
  3. かかりつけ医や家庭医的存在として親しまれている
  4. 多くの職種が組織的に活動している

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 高度な診断・治療・看護が行われる施設である:高度な医療を提供する施設は特定機能病院や大学病院などです。診療所は地域に密着した身近な医療施設であり、高度専門医療を行う施設ではありません。
  2. ✗ 20人以上の入院施設を持つ:20床以上の病床を持つのは「病院」の定義です。診療所は医療法で「病床を有さないもの、または19床以下の病床を有するもの」と定義されています。
  3. ✓ かかりつけ医や家庭医的存在として親しまれている:正解。診療所は地域住民にとって身近な医療機関であり、かかりつけ医(家庭医、ホームドクター)として日常的な健康相談や初期診療を行う存在です。地域医療の第一線を担っています。
  4. ✗ 多くの職種が組織的に活動している:多くの専門職種が組織的に活動するのは病院の特徴です。診療所は比較的少人数のスタッフで運営されることが多いです。

医療施設の区分:

  • 診療所:病床なし、または19床以下(かかりつけ医)
  • 病院:20床以上の病床を有する
  • 特定機能病院:高度医療を提供(400床以上)

問題37​

保健医療福祉チームについて、適切なのはどれか。

  1. 患者の意思決定よりチームの意思決定を優先する
  2. 看護師はチームの一員として協働する
  3. 専門職間のカンファレンスは開く必要がない
  4. 管理栄養士はチームの一員には含まれない

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 患者の意思決定よりチームの意思決定を優先する:誤り。保健医療福祉チームでは、患者中心のケアが基本です。患者の意思決定を尊重し、チームはそれを支援する立場にあります。患者不在の意思決定は適切ではありません。
  2. ✓ 看護師はチームの一員として協働する:正解。保健医療福祉チームは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、社会福祉士など、多職種で構成されます。看護師は24時間患者に最も近い存在として、チームの一員として他職種と協働し、患者のケアに当たります。
  3. ✗ 専門職間のカンファレンスは開く必要がない:誤り。多職種間のカンファレンスは、情報共有、治療方針の検討、問題解決のために非常に重要です。定期的なカンファレンスによってチームの連携が強化されます。
  4. ✗ 管理栄養士はチームの一員には含まれない:誤り。管理栄養士は栄養管理・食事療法の専門家として、チームの重要な一員です。NST(栄養サポートチーム)など、栄養管理においては中心的な役割を担います。

チーム医療の構成職種: 医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、社会福祉士、臨床検査技師、診療放射線技師など

問題38​

倫理に関する規定とその内容の組合せで、正しいのはどれか。

  1. ニュルンベルク倫理綱領 ── 容認できる人体実験を規定
  2. ジュネーブ宣言 ── インフォームドコンセントを確立
  3. ヘルシンキ宣言 ── 患者の権利の明文化
  4. リスボン宣言 ── 医師の職業上の倫理規律

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ ニュルンベルク倫理綱領 ── 容認できる人体実験を規定:正解。ニュルンベルク綱領(1947年)は、第二次世界大戦中のナチスによる非人道的な人体実験を裁いたニュルンベルク裁判の判決で示されました。「容認できる人体実験とは何か」を示した最初の国際的な倫理規範で、被験者の自発的同意の必要性など10項目の原則が定められました。
  2. ✗ ジュネーブ宣言 ── インフォームドコンセントを確立:誤り。ジュネーブ宣言(1948年)は、医師の職業倫理に関する宣言で、現代版ヒポクラテスの誓いとも呼ばれます。インフォームド・コンセントの確立に関連が深いのはヘルシンキ宣言です。
  3. ✗ ヘルシンキ宣言 ── 患者の権利の明文化:誤り。ヘルシンキ宣言(1964年)は、人を対象とする医学研究の倫理的原則を示したものです。患者の権利を明文化したのはリスボン宣言です。
  4. ✗ リスボン宣言 ── 医師の職業上の倫理規律:誤り。リスボン宣言(1981年)は、患者の権利を明文化した宣言です。医師の職業上の倫理規律を示したのはジュネーブ宣言です。

主な医療倫理に関する宣言(正しい組合せ):

  • ニュルンベルク綱領(1947年):容認できる人体実験の規定
  • ジュネーブ宣言(1948年):医師の職業倫理
  • ヘルシンキ宣言(1964年):人を対象とする医学研究の倫理
  • リスボン宣言(1981年):患者の権利

令和元年度(2021年)​

問題39​

第三次予防について、正しいのはどれか。

  1. がん検診
  2. 健康診断
  3. 予防接種
  4. リハビリテーション

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ がん検診:二次予防に該当します。がん検診は疾病の早期発見・早期治療を目的としており、がんを早期に発見して治療することで予後を改善します。
  2. ✗ 健康診断:二次予防に該当します。健康診断は疾病や健康上の問題を早期に発見するためのスクリーニングであり、二次予防の代表的な活動です。
  3. ✗ 予防接種:一次予防に該当します。予防接種は感染症の発症そのものを予防するための活動で、疾病の発生を未然に防ぎます。
  4. ✓ リハビリテーション:正解。三次予防は、疾病や障害が生じた後の機能回復・維持、社会復帰を目指す活動です。リハビリテーションは障害を持った人の機能回復や社会復帰を支援する典型的な三次予防活動です。

予防医学の3段階:

  • 一次予防:健康増進・疾病予防(予防接種、健康教育など)
  • 二次予防:早期発見・早期治療(健診、検診など)
  • 三次予防:機能回復・社会復帰(リハビリテーションなど)

問題40​

リスボン宣言で明文化されたのはどれか。

  1. インフォームドコンセント
  2. 医師の人道的あり方
  3. 人体実験の禁止
  4. 患者の自己決定権

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ インフォームドコンセント:インフォームド・コンセント(説明と同意)の確立に深く関連するのはヘルシンキ宣言(1964年)です。医学研究における被験者への説明と同意の重要性が示されました。
  2. ✗ 医師の人道的あり方:医師の人道的あり方を示しているのはジュネーブ宣言(1948年)です。現代版ヒポクラテスの誓いとして、医師の職業倫理を規定しています。
  3. ✗ 人体実験の禁止:人体実験の規制についてはニュルンベルク綱領(1947年)で示されました。容認できる人体実験の条件として被験者の自発的同意などが定められました。
  4. ✓ 患者の自己決定権:正解。リスボン宣言(1981年)は、世界医師会が採択した「患者の権利に関するリスボン宣言」です。良質の医療を受ける権利、選択の自由の権利、自己決定の権利、情報に関する権利、機密保持を求める権利などが明文化されました。

主な医療倫理宣言の内容:

  • ニュルンベルク綱領:人体実験の倫理規範
  • ジュネーブ宣言:医師の職業倫理
  • ヘルシンキ宣言:医学研究の倫理
  • リスボン宣言:患者の権利

問題41​

ヘンダーソンの看護の概念で正しいのはどれか。

  1. 人間がセルフケア能力を高めるよう援助するものである
  2. 患者と看護者との有意義で治療的な人間関係のプロセスである
  3. 生命力の消耗を最小にするように生活過程を整えることである
  4. 日常の生活様式をまもることができるように基本的ニードを満たすことである

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 人間がセルフケア能力を高めるよう援助するものである:ドロセア・オレムのセルフケア理論です。オレムは看護をセルフケア能力を高めるよう支援することと定義しました。
  2. ✗ 患者と看護者との有意義で治療的な人間関係のプロセスである:ヒルデガード・ペプロウの対人関係論です。ペプロウは看護を患者と看護師の間の対人関係のプロセスとして捉えました。
  3. ✗ 生命力の消耗を最小にするように生活過程を整えることである:フローレンス・ナイチンゲールの看護論です。ナイチンゲールは環境を整えて患者の生命力の消耗を最小にすることが看護の役割としました。
  4. ✓ 日常の生活様式をまもることができるように基本的ニードを満たすことである:正解。ヴァージニア・ヘンダーソンは「看護の基本となるもの」の中で14の基本的ニードを提唱しました。看護独自の機能は「患者が健康・回復(あるいは平和な死)の一助となる生活行動を行えるよう援助すること」であると述べ、基本的ニードを満たすことの重要性を強調しました。

ヘンダーソンの14の基本的ニード: 呼吸、飲食、排泄、姿勢・移動、睡眠・休息、衣服の選択・着脱、体温調節、身体の清潔、環境の危険防止、コミュニケーション、信仰、仕事、レクリエーション、学習

問題42​

看護方式について正しいのはどれか。

  1. チームナーシングは1人の看護者が数人の患者を受け持つ
  2. 機能別看護方式(機能別看護)は数人の看護師チームを組んでケアをする
  3. プライマリナーシングは1人の看護師が患者の入院から退院まで受け持つ
  4. 受け持ち制看護方式(受け持ち看護)は数人の検温・処置など業務を分業化する

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ チームナーシングは1人の看護者が数人の患者を受け持つ:誤り。チームナーシングは複数の看護師がチームを組み、チームリーダーの下で協力して複数の患者をケアする方式です。1人で受け持つのは受け持ち看護方式です。
  2. ✗ 機能別看護方式(機能別看護)は数人の看護師チームを組んでケアをする:誤り。機能別看護方式は、検温係、注射係、処置係など業務ごとに担当を決めて分業する方式です。チームを組むのはチームナーシングです。
  3. ✓ プライマリナーシングは1人の看護師が患者の入院から退院まで受け持つ:正解。プライマリーナーシングは、1人のプライマリーナースが患者の入院から退院まで一貫して責任を持ち、24時間体制で看護計画を立案・実施・評価する方式です。継続性のある個別的な看護が特徴です。
  4. ✗ 受け持ち制看護方式(受け持ち看護)は数人の検温・処置など業務を分業化する:誤り。受け持ち看護方式は1人の看護師が1勤務帯で数人の患者を担当する方式です。業務を分業化するのは機能別看護方式です。

看護方式の正しい説明:

  • 機能別:業務ごとに分業
  • 受け持ち制:1勤務帯で患者を受け持つ
  • チームナーシング:チームで協力してケア
  • プライマリーナーシング:入院から退院まで一貫

問題43​

インシデントの説明で正しいのはどれか。

  1. 医療従事者の過失がある事象
  2. 医療事故に至らなかった事象
  3. 過失事故の分析方法の一つである
  4. 患者や医療者に何らかの被害が生じた事象

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 医療従事者の過失がある事象:過失の有無はインシデントの定義には直接関係しません。インシデントは過失があってもなくても、事故に至らなかった事象を指します。
  2. ✓ 医療事故に至らなかった事象:正解。インシデント(ヒヤリ・ハット)は、医療行為の中で「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりした出来事で、実際には患者に障害が発生しなかった事象、または発生したが軽微だった事象を指します。事故未然防止のために報告・分析することが重要です。
  3. ✗ 過失事故の分析方法の一つである:インシデントは事象そのものを指す言葉であり、分析方法ではありません。インシデント分析にはRCA(根本原因分析)やSHELモデルなどの手法が用いられます。
  4. ✗ 患者や医療者に何らかの被害が生じた事象:被害が生じた事象はアクシデント(医療事故)と呼ばれます。インシデントは被害が生じなかった、または軽微だった事象です。

インシデントとアクシデントの違い:

  • インシデント:医療事故に至らなかった、または軽微な影響のみの事象
  • アクシデント:患者に障害や死亡などの被害が生じた事象

問題44​

人間の成長・発達の原則について、正しいのはどれか。

  1. 臓器や組織にかかわらず、成長・発達の速度は一定している
  2. 一定の順序で進むが、個人差がある
  3. 発達とは、身体の形態的増大をいう
  4. スキャモンによると、神経系型は思春期に最大の発達を示す

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 臓器や組織にかかわらず、成長・発達の速度は一定している:誤り。臓器や組織によって成長・発達の速度は異なります。スキャモンの発育曲線が示すように、神経系、リンパ系、生殖器系、一般型(身体)はそれぞれ異なる発達パターンを示します。
  2. ✓ 一定の順序で進むが、個人差がある:正解。発達には一定の順序性があります(頭部から尾部へ、中心から末梢へなど)。しかし、その進行速度や到達時期には個人差があり、環境や遺伝的要因によって影響を受けます。
  3. ✗ 発達とは、身体の形態的増大をいう:誤り。身体の形態的・量的な増大は「成長」と呼ばれます。「発達」は機能的・質的な変化(精神的・心理的な成熟を含む)を指します。成長と発達は区別して用いられます。
  4. ✗ スキャモンによると、神経系型は思春期に最大の発達を示す:誤り。スキャモンの発育曲線によると、神経系型は出生後早期から急速に発達し、4〜5歳で約80%、8歳頃にはほぼ100%に達します。思春期に最大の発達を示すのは生殖器型です。

発達の原則:

  • 順序性:一定の順序で進む
  • 方向性:頭部→尾部、中心→末梢
  • 個人差:速度や時期に個人差がある
  • 連続性:連続的に進行する

問題45​

臓器移植について、正しいのはどれか。

  1. レシピエントとは、臓器提供者のことである
  2. 親族への優先的提供の意思表示は認められていない
  3. 本人の臓器提供の意思が不明の場合、臓器移植はできない
  4. 臓器提供ができる年齢に制限はない

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ レシピエントとは、臓器提供者のことである:誤り。レシピエント(recipient)は臓器を受け取る人(移植を受ける人)のことです。臓器提供者はドナー(donor)と呼ばれます。
  2. ✗ 親族への優先的提供の意思表示は認められていない:誤り。2010年の臓器移植法改正により、親族(配偶者、子、父母)への優先的提供の意思表示が認められるようになりました。書面により意思表示することができます。
  3. ✗ 本人の臓器提供の意思が不明の場合、臓器移植はできない:誤り。2010年の臓器移植法改正により、本人の臓器提供の意思が不明な場合でも、遺族の書面による承諾があれば臓器提供が可能になりました。ただし、本人が生前に拒否の意思表示をしていた場合は移植できません。
  4. ✓ 臓器提供ができる年齢に制限はない:正解。2010年の法改正により、15歳未満の者からの脳死下での臓器提供も可能になりました。年齢による制限はなく、小児からの臓器提供も認められています。

臓器移植法のポイント:

  • ドナー:臓器を提供する人
  • レシピエント:臓器を受け取る人
  • 本人の意思不明でも遺族の同意で提供可能
  • 年齢制限なし(小児からの提供も可能)

問題46​

ストレス状態に置かれたとき、精神的安定を保とうとする防衛機制について、誤っているのはどれか。

  1. 逃避
  2. 同一化
  3. 抑圧
  4. 承認

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 逃避:防衛機制の一つです。不安や困難な状況から心理的・物理的に逃れようとする反応です。現実から目を背けることで不安を軽減します。
  2. ✗ 同一化:防衛機制の一つです。自分が望む他者の特性や成功を取り入れて、自分のものとすることで自己評価を高めようとする反応です。
  3. ✗ 抑圧:最も基本的な防衛機制の一つです。受け入れがたい欲求、感情、記憶を無意識のうちに意識から締め出す反応です。思い出したくない出来事を「忘れる」などがあります。
  4. ✓ 承認:正解(誤っているもの)。「承認」は防衛機制ではありません。防衛機制は無意識に働く心の防御反応であり、承認(認めること)はそれに該当しません。

主な防衛機制:

  • 抑圧:意識から締め出す
  • 逃避:問題から逃げる
  • 同一化:他者の特性を取り入れる
  • 投影:自分の感情を他者に帰する
  • 退行:発達段階を後退する
  • 合理化:もっともらしい理由をつける

問題47​

外来における看護師の役割について、適切でないのはどれか。

  1. 医師の指示に基づく診療の補助を実施する
  2. 福祉やボランティア団体など、医療従事者以外の人々と連携する
  3. 実施した内容を看護記録に記録する
  4. 具合が悪い人がいても、受付順番を優先する

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 医師の指示に基づく診療の補助を実施する:適切です。外来看護師は医師の指示のもと、採血、注射、検査の介助など診療の補助を行います。保健師助産師看護師法に規定された看護師の業務です。
  2. ✗ 福祉やボランティア団体など、医療従事者以外の人々と連携する:適切です。外来看護師は患者の療養生活を支援するため、地域の福祉サービスやボランティア団体などとも連携し、社会資源の活用を支援します。
  3. ✗ 実施した内容を看護記録に記録する:適切です。実施した看護ケアや観察内容、患者の状態などを正確に記録することは、看護師の重要な責務です。継続的なケアや情報共有のために必要です。
  4. ✓ 具合が悪い人がいても、受付順番を優先する:正解(適切でないもの)。具合が悪い患者がいる場合は、受付順番にかかわらず優先的に診察・対応する必要があります。緊急性の判断(トリアージ)を行い、状態の悪い患者を優先することが看護師の重要な役割です。

外来看護師の役割:

  • 診療の補助
  • 患者の状態観察・トリアージ
  • 療養指導・健康相談
  • 多職種・地域との連携

問題48​

看護の対象について、適切なのはどれか。

  1. 病気そのものである
  2. 社会的側面はとらえなくてよい
  3. 人間は、共通性と個別性を持っている
  4. 身体的に問題があっても、精神的状態には影響しない

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ 病気そのものである:誤り。看護の対象は病気ではなく「人間」です。疾患を持つ人も、健康な人も看護の対象となります。病気を治療するのは医療ですが、看護は人間を全人的にケアします。
  2. ✗ 社会的側面はとらえなくてよい:誤り。看護では対象者を身体的・精神的・社会的側面から全人的(ホリスティック)に捉えることが重要です。家族関係、職業、経済状況なども重要な情報です。
  3. ✓ 人間は、共通性と個別性を持っている:正解。人間には基本的ニードなど共通する部分がありますが、同時に一人一人が異なる価値観、生活背景、健康状態を持つ個別的な存在です。看護ではこの両面を理解し、個別性に配慮したケアを提供することが重要です。
  4. ✗ 身体的に問題があっても、精神的状態には影響しない:誤り。身体と精神は相互に影響し合います。身体的な疾患や症状は不安、抑うつ、ストレスなどの精神的影響をもたらします。心身相関の観点から全人的なケアが必要です。

看護の対象の捉え方:

  • 全人的(ホリスティック)アプローチ
  • 身体的・精神的・社会的側面
  • 共通性と個別性の両面を理解

問題49​

フライの倫理原則について、誠実の原則はどれか。

  1. 自律を尊重すること
  2. 善を行い、害を避けること
  3. 公平・平等に行うこと
  4. 真実を告げること

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 自律を尊重すること:自律尊重の原則(autonomy)の説明です。患者の自己決定権を尊重し、患者が自らの意思で決定できるよう支援することです。
  2. ✗ 善を行い、害を避けること:善行の原則(beneficence)と無害の原則(non-maleficence)の説明です。患者にとって善いことを行い、害を与えないことです。
  3. ✗ 公平・平等に行うこと:正義の原則(justice)の説明です。医療資源の公平な配分や、患者を平等に扱うことを求めます。
  4. ✓ 真実を告げること:正解。誠実の原則(veracity)は、患者に真実を伝えることを意味します。病状や治療内容について正直に説明し、嘘をついたり情報を隠したりしないことが求められます。信頼関係の基盤となる原則です。

フライの看護倫理の原則:

  • 自律尊重:自己決定の尊重
  • 善行:善い行いをする
  • 無害:害を与えない
  • 正義:公平・平等
  • 忠誠:約束を守る
  • 誠実:真実を告げる

令和2年度(2020年)​

問題50​

1948年ブラウンレポート(Nursing for the Future)で挙げられた課題について、誤っているのはどれか。

  1. 公衆衛生看護の創設
  2. 看護教育の高等教育化(大学化)の必要性
  3. 専門職としての看護師の位置づけ
  4. 看護研究や理論の開発

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 公衆衛生看護の創設:正解(誤っているもの)。ブラウンレポートでは公衆衛生看護についての勧告は含まれていません。このレポートは看護教育や看護専門職の地位向上に焦点を当てたもので、公衆衛生看護の創設は主な課題として挙げられていませんでした。
  2. ✗ 看護教育の高等教育化(大学化)の必要性:正しい内容です。ブラウンレポートでは、看護教育を大学レベルに引き上げる必要性が強調されました。看護学部の設置を勧告しています。
  3. ✗ 専門職としての看護師の位置づけ:正しい内容です。看護師を専門職として認識し、その地位を確立することがレポートの重要な勧告の一つでした。
  4. ✗ 看護研究や理論の開発:正しい内容です。看護の科学的基盤を強化するため、看護研究の必要性が勧告に含まれていました。

ブラウンレポート(1948年)の主な勧告:

  • 看護教育の大学化
  • 専門職としての看護師の地位確立
  • 看護研究の推進
  • 看護理論の開発

問題51​

ナイチンゲールの「看護覚え書」の一文を示す。( )にあてはまるのはどれか。

看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを生かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること-こういったことのすべてを、患者の( )の消耗を最小にするよう整えること、を意味すべきである。

  1. 体力
  2. 精神力
  3. 行動力
  4. 生命力

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 体力:体力の消耗を最小にすることも重要ですが、ナイチンゲールの看護理論ではより包括的な概念である「生命力」を用いています。
  2. ✗ 精神力:精神面への配慮も看護において重要ですが、ナイチンゲールは精神力だけでなく、人間が本来持つ回復する力全体を指す概念を使用しています。
  3. ✗ 行動力:行動力は看護覚え書で使われている概念ではありません。
  4. ✓ 生命力:正解。ナイチンゲールは「看護覚え書」の中で、看護とは「患者の生命力の消耗を最小にするように生活過程を整えること」と述べています。生命力とは、人間が本来持っている自然治癒力や回復力のことで、環境を整えることでこの生命力が最大限に発揮されると考えました。

ナイチンゲールの看護理論:

  • 人間は自然治癒力(生命力)を持つ存在
  • 看護は生命力の消耗を最小にするよう環境を整える
  • 環境要因:新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔、静けさ

問題52​

アドボカシーについて正しいのはどれか。

  1. 患者の意見を代弁する
  2. 治療を医師や看護師に委ねる
  3. 患者の個人情報を口外しない
  4. 医療従事者から十分な説明を受け理解した上で同意する

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 患者の意見を代弁する:正解。アドボカシー(advocacy)とは「権利擁護」「代弁」を意味します。患者が自分の権利を守れるよう支援し、患者に代わって意見を表明したり、利益を守るために行動することです。特に弱い立場にある患者の権利を守る看護師の重要な役割です。
  2. ✗ 治療を医師や看護師に委ねる:これはパターナリズム(父権主義)的な考え方で、患者の主体性を軽視するものです。アドボカシーとは逆の概念です。
  3. ✗ 患者の個人情報を口外しない:これは守秘義務(秘密保持)に関する内容で、アドボカシーとは異なる概念です。
  4. ✗ 医療従事者から十分な説明を受け理解した上で同意する:これはインフォームドコンセント(説明と同意)の説明です。アドボカシーとは異なる概念です。

アドボカシーの要点:

  • 患者の権利擁護
  • 患者の代弁者としての役割
  • 自己決定の支援
  • 弱い立場にある人の権利を守る

問題53​

トリアージ・タッグにおける最優先治療群(最優先要緊急治療)を示す識別色について、正しいのはどれか。

  1. 赤
  2. 黄
  3. 緑
  4. 黒

正解: 1

各選択肢の解説:

  1. ✓ 赤:正解。赤色は「最優先治療群(重症群)」を示します。直ちに処置を行えば救命が可能な傷病者で、最も緊急に治療が必要な状態です。START法では、呼吸・循環・意識のいずれかに異常がある場合に該当します。
  2. ✗ 黄:黄色は「待機的治療群(中等症群)」を示します。多少治療が遅れても生命に危険がない状態で、赤色の患者より優先度が低くなります。
  3. ✗ 緑:緑色は「保留群(軽傷群)」を示します。歩行可能な軽症者で、治療の必要性が低いか、自力で医療機関を受診できる状態です。
  4. ✗ 黒:黒色は「救命困難群もしくは死亡群」を示します。既に死亡している、または救命の見込みがない状態です。

トリアージタグの色と優先順位:

  • 赤(Ⅰ):最優先治療群(重症)
  • 黄(Ⅱ):待機的治療群(中等症)
  • 緑(Ⅲ):保留群(軽症)
  • 黒(0):救命困難群・死亡

問題54​

個人情報保護について、正しいのはどれか。

  1. 個人情報とは、個人を識別できるかできないかに関わらず全ての情報である
  2. 医療情報の開示は、個人情報保護法に規定されている
  3. 個人情報は、取り扱い方法を厳守すれば目的以外でも利用してよい
  4. 看護職を退職後は、個人情報に対する守秘義務はなくなる

正解: 2

各選択肢の解説:

  1. ✗ 個人情報とは、個人を識別できるかできないかに関わらず全ての情報である:誤り。個人情報保護法では、個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるもの」と定義されています。氏名、生年月日、住所など個人を識別できる情報が該当します。
  2. ✓ 医療情報の開示は、個人情報保護法に規定されている:正解。個人情報保護法では、本人からの開示請求に対応することが事業者の義務として規定されています。患者は自身の医療情報(カルテなど)の開示を請求する権利があります。
  3. ✗ 個人情報は、取り扱い方法を厳守すれば目的以外でも利用してよい:誤り。個人情報は、利用目的の範囲内でのみ使用することが原則です。目的外利用は本人の同意がない限り認められません。
  4. ✗ 看護職を退職後は、個人情報に対する守秘義務はなくなる:誤り。守秘義務は退職後も継続します。保健師助産師看護師法第42条の2で、業務上知り得た秘密を漏らしてはならないと規定されており、この義務は退職後も永続的に適用されます。

個人情報保護の原則:

  • 利用目的の特定・明示
  • 目的外利用の制限
  • 適正な取得
  • 安全管理措置
  • 本人関与の確保

問題55​

国際生活機能分類(ICF)について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a. 健康と障害は、相対するものであるという考えに基づいている。 b. 生活機能の分類は、心身機能・身体構造、活動および参加である。 c. WHOは、2001年に国際障害分類を国際生活機能分類へと改めた。 d. 環境因子には、年齢、性別およびライフスタイルがある。

  1. a, b
  2. a, d
  3. b, c
  4. c, d

正解: 3

各選択肢の解説:

  • a. 健康と障害は、相対するものであるという考えに基づいている:誤り。ICFでは、健康と障害を二項対立的に捉えるのではなく、すべての人が健康に関連した状態を持つという「統合モデル」の考え方に基づいています。障害は特別なものではなく、誰もが経験しうる健康状態の一部と捉えます。
  • b. 生活機能の分類は、心身機能・身体構造、活動および参加である:正しい。ICFでは生活機能を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの要素で構成されるものとして分類しています。
  • c. WHOは、2001年に国際障害分類を国際生活機能分類へと改めた:正しい。2001年にWHO総会で採択され、従来の国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へと改訂されました。
  • d. 環境因子には、年齢、性別およびライフスタイルがある:誤り。年齢、性別、ライフスタイルは「個人因子」に含まれます。環境因子は物的環境、社会的環境、態度的環境など、個人を取り巻く外部の要因を指します。

ICFの構成要素:

  • 生活機能:心身機能・身体構造、活動、参加
  • 背景因子:環境因子、個人因子

問題56​

ハヴィガーストによる各期の発達課題の組合せで、正しいものを一つ選べ。

  1. 児童期(学童期)- 善悪の区別を学ぶ
  2. 青年期 - 大人の余暇活動の充実
  3. 中年期(成人中期)- 社会的に責任のある行動への努力
  4. 老年期(高齢期)- 肉体(身体)的変化への適応

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ 児童期(学童期)- 善悪の区別を学ぶ:誤った組合せです。善悪の区別を学ぶのは乳児期・児童初期(就学前)の発達課題です。児童期(学童期)の課題は、読み書き計算の基礎的技能を習得する、仲間と付き合う技能を学ぶなどです。
  2. ✗ 青年期 - 大人の余暇活動の充実:誤った組合せです。大人の余暇活動の充実は中年期(成人中期)の発達課題です。青年期の課題は、アイデンティティの確立、職業選択、異性との成熟した関係などです。
  3. ✗ 中年期(成人中期)- 社会的に責任のある行動への努力:誤った組合せです。社会的に責任のある行動への努力は青年期の発達課題です。中年期の課題は、次世代の育成、余暇活動の充実、市民的責任を果たすなどです。
  4. ✓ 老年期(高齢期)- 肉体(身体)的変化への適応:正解。老年期の発達課題には、身体的な衰えへの適応、退職と収入減少への適応、配偶者の死への適応、同年代の人との関係構築などがあります。

ハヴィガーストの発達課題(各期の特徴):

  • 乳幼児期:善悪の区別を学ぶ
  • 児童期:基礎的技能の習得
  • 青年期:アイデンティティの確立、社会的責任
  • 成人期:職業生活、家庭生活の確立
  • 中年期:次世代の育成、余暇活動
  • 老年期:身体的変化への適応

問題57​

過失事故の分析方法であるSHELモデルの4つの要因でないのはどれか。

  1. ソフトウェア
  2. ハードウェア
  3. 社会
  4. 人間

正解: 3

各選択肢の解説:

  1. ✗ ソフトウェア(Software):SHELモデルの「S」に該当します。マニュアル、手順書、規則、チェックリストなど、業務を進めるうえでの情報やルールを指します。
  2. ✗ ハードウェア(Hardware):SHELモデルの「H」に該当します。機器、器具、設備、施設など、物理的な道具や環境を指します。
  3. ✓ 社会:正解(SHELモデルに含まれない)。SHELモデルの4つの要因に「社会」は含まれていません。4つ目の要因は「E:Environment(環境)」で、温度、照明、騒音など、当事者や現場を取り巻く環境要因を指します。
  4. ✗ 人間(Liveware):SHELモデルの「L」に該当します。当事者本人の知識、技能、経験、体調、心理状態など、人的要因を指します。

SHELモデルの4要因:

  • S(Software):ソフトウェア(マニュアル、規則など)
  • H(Hardware):ハードウェア(機器、設備など)
  • E(Environment):環境(温度、照明、騒音など)
  • L(Liveware):人間(当事者の個人的要素)

問題58​

次のうち、病気の予防・健康増進を重視し、セルフケアによる健康管理を推進することを表すのはどれか。

  1. アドボカシー
  2. コンプライアンス
  3. ノーマライゼーション
  4. プライマリヘルスケア

正解: 4

各選択肢の解説:

  1. ✗ アドボカシー:患者の権利擁護や代弁を意味します。患者が自分の権利を守れるよう支援することで、セルフケアによる健康管理の概念とは異なります。
  2. ✗ コンプライアンス:医療分野では「服薬遵守」や「治療計画への従順」を意味します。広義では法令遵守を指します。セルフケアや予防に焦点を当てた概念ではありません。
  3. ✗ ノーマライゼーション:障害者や高齢者が他の多くの人と同様の生活を送れるよう、社会環境を整備していく考え方です。セルフケアによる健康管理とは異なる概念です。
  4. ✓ プライマリヘルスケア:正解。1978年のアルマ・アタ宣言で提唱された概念で、地域住民が主体的に参加し、自らの健康を管理・改善することを重視します。予防、健康増進、セルフケアを推進し、すべての人に基本的な保健医療を提供することを目指します。

プライマリヘルスケアの特徴:

  • 住民参加と自己決定
  • 健康増進・疾病予防の重視
  • セルフケアの推進
  • 地域に根ざした包括的なケア
  • アルマ・アタ宣言(1978年)で提唱

授業プリント穴埋め問題​

第2回 看護とは(看護概念とは)​

問題A-1​

看護の対象は( 1 )である。( 1 )に対する自己の考えを持つために必要な学習をする。


正解:

  • 1: 人間

問題A-2​

ナイチンゲールは( 1 )看護の基盤を築いた人物である。


正解:

  • 1: 近代

問題A-3​

ナイチンゲールは、疾病は( 1 )であると述べた。


正解:

  • 1: 回復過程

問題A-4​

ナイチンゲールの看護の定義において、看護とは患者の生命力の消耗を最小にするように( 1 )ことである。


正解:

  • 1: 環境を整える

問題A-5​

ナイチンゲールは看護教育者であるとともに( 1 )でもあった。看護師は( 2 )を受けた専門職である。


正解:

  • 1: 社会改革者
  • 2: 専門的な教育訓練

問題A-6​

ナイチンゲール以降の看護の推進として、看護教育の充実と( 1 )の発展により、看護に対する考え方は変化した。


正解:

  • 1: 看護研究

問題A-7​

ナイチンゲール以降、看護の対象は個人だけでなく( 1 )も含まれるようになり、看護の対象を( 2 )にまで広げた。


正解:

  • 1: 家族
  • 2: 健康な人

問題A-8​

ヘンダーソンは、看護師の独自の機能は( 1 )に対して、( 2 )に含まれる( 3 )を含むものを行うことであるとした。(1960)


正解:

  • 1: 病人または健康な人
  • 2: 日常生活行動
  • 3: 基本的看護

第3回 職能団体が定義する看護 / 対象の理解​

問題B-1​

日本看護協会の看護の定義において、看護は、あらゆる( 1 )の( 2 )、( 3 )、( 4 )、( 5 )を対象としている。


正解:

  • 1: 場
  • 2: 個人
  • 3: 家族
  • 4: 集団
  • 5: 地域社会

問題B-2​

日本看護協会の看護の定義において、看護の目的は( 1 )、( 2 )、( 3 )、( 4 )を行い、その人( 5 )人生を全うできるようその人の( 6 )に働きかけながら( 7 )することである。


正解:

  • 1: 健康の保持増進
  • 2: 疾病の予防
  • 3: 健康の回復
  • 4: 苦痛の緩和
  • 5: らしく
  • 6: もつ力
  • 7: 支援

問題B-3​

看護師・准看護師の業務内容は( 1 )で規定されている。看護師は( 2 )の免許を受けて業務を行う。


正解:

  • 1: 保健師助産師看護師法
  • 2: 厚生労働大臣

問題B-4​

准看護師は( 1 )の免許を受けて業務を行う。


正解:

  • 1: 都道府県知事

問題B-5​

「生活する」とは、( 1 )を着、( 2 )をし、( 3 )を行い、( 4 )活動をするなど日常生活のあらゆる行動を含む。


正解:

  • 1: 衣
  • 2: 飲食
  • 3: 排泄
  • 4: 経済

問題B-6​

成長とは( 1 )的な( 2 )的変化であり、客観的に測定可能である。発達とは( 3 )的な( 4 )的変化である。


正解:

  • 1: 身体
  • 2: 量
  • 3: 精神(機能)
  • 4: 質

問題B-7​

精神的発達過程を段階としてとらえたものを( 1 )という。


正解:

  • 1: 発達課題

問題B-8​

エリクソンは心理社会的発達を( 1 )つの段階に区分した。成功を経験することがよいというだけではなく、失敗も経験しながら自分自身を統合していくことが成長につながる。


正解:

  • 1: 8

第4回 統合体としての存在​

問題C-1​

人間は( 1 )な存在であり、身体的・精神的・社会的要素は別々に存在するのではなく、一人の人間の中に( 2 )されている。


正解:

  • 1: 知的
  • 2: 統合

問題C-2​

自体内部の恒常性を維持する機能を( 1 )(( 2 )ともいう)という。この概念は( 3 )が提唱した。


正解:

  • 1: ホメオスタシス
  • 2: 恒常性
  • 3: キャノン

問題C-3​

ストレスに心身の適応をとるような力により引き起こされる生体の反応をストレスという。ストレスを生じさせる外界からの刺激を( 1 )(( 2 ))という。


正解:

  • 1: ストレッサー
  • 2: ストレス因子

問題C-4​

ハンス・セリエのストレス理論において、ストレスに対する全身の反応を( 1 )という。その経過は( 2 )期→( 3 )期→( 4 )期の3段階である。


正解:

  • 1: 汎適応症候群
  • 2: 警告反応
  • 3: 抵抗
  • 4: 疲憊

問題C-5​

人は欲求が阻害されたり不安や脅威を感じたときに防衛的な態度をとることがある。これを( 1 )という。


正解:

  • 1: フラストレーション

問題C-6​

ストレスへの対処を( 1 )という。ラザルスとフォルクマンの認知的評価では、( 2 )的評価と( 3 )的評価がある。


正解:

  • 1: コーピング
  • 2: 一次(認知)
  • 3: 二次(認知)

問題C-7​

コーピングには、問題そのものに焦点を当てる( 1 )コーピングと、感情に焦点を当てる( 2 )コーピングがある。


正解:

  • 1: 問題焦点型(問題中心型)
  • 2: 情動焦点型(情動中心型)

問題C-8​

マズローの人間の欲求の階層を下位から順に答えなさい。( 1 )→( 2 )→( 3 )→( 4 )→( 5 )


正解:

  • 1: 生理的欲求
  • 2: 安全の欲求
  • 3: 所属と愛の欲求
  • 4: 承認と自尊の欲求
  • 5: 自己実現の欲求

問題C-9​

マズローの欲求階層説において、下位の欲求(生理的欲求・安全の欲求・所属と愛の欲求)を( 1 )欲求といい、上位の欲求(承認と自尊の欲求・自己実現の欲求)を( 2 )欲求という。


正解:

  • 1: 欠乏
  • 2: 成長

問題C-10​

人間が充足して持っている健康上の基本的な要求を( 1 )という。ヘンダーソンはこの( 1 )を基本ニードとして( 2 )項目に分類した。


正解:

  • 1: ニード
  • 2: 14

第5回 健康の概念​

問題D-1​

健康の価値について、健康は個人の( 1 )によって異なる。健康は( 2 )(( 3 ))であり、人によって感じ方が異なる。


正解:

  • 1: ライフスタイル
  • 2: 自覚的
  • 3: 主観的体験

問題D-2​

WHOの健康の定義において、到り得る( 1 )の健康を享受することは、すべての人間の( 2 )のひとつである。


正解:

  • 1: 最高水準
  • 2: 基本的権利

問題D-3​

日本国憲法 第3章 第25条 第1項は( 1 )に関する規定であり、すべて国民は( 2 )の生活を営む( 3 )を有する。


正解:

  • 1: 社会権
  • 2: 健康で文化的な最低限度
  • 3: 権利

問題D-4​

( 1 )年のアルマ・アタ宣言で「2000年までにすべての人に健康を」がスローガンとして掲げられ、( 2 )の考え方が提唱された。


正解:

  • 1: 1978
  • 2: プライマリヘルスケア

問題D-5​

ICIDH(( 1 ))からICF(( 2 ))へと障害の分類が変化した。


正解:

  • 1: 国際障害分類
  • 2: 国際生活機能分類

問題D-6​

QOLとは( 1 )のことである。


正解:

  • 1: 生活の質(いのちの質)

問題D-7​

健康寿命とは( 1 )期間のことをいう。


正解:

  • 1: 健康で自立した生活を送れる

問題D-8​

健康の状態について、最高から最低の状態まで様々なレベルがある。Well-beingとは( 1 )のことである。Wellnessとは( 2 )レベルの健康を実現することをいう。


正解:

  • 1: 幸福・安寧
  • 2: よりよい

問題D-9​

疾病の予防(予防医療)について、1次予防は( 1 )であり、自分でできることとして( 2 )がある。2次予防は( 3 )・( 4 )である。3次予防は( 5 )であり、ADLの維持・向上を目指し( 6 )を行う。


正解:

  • 1: 健康増進
  • 2: 切り傷の手当てをする
  • 3: 早期発見
  • 4: 早期治療
  • 5: 治療・回復
  • 6: リハビリテーション

問題D-10​

医療圏について、一次医療圏は( 1 )や( 2 )などが含まれる。二次医療圏は( 3 )を確保する中核的な医療圏である。三次医療圏は( 4 )を提供する広域医療圏で、おおむね( 5 )に1つ設置される。


正解:

  • 1: 外来
  • 2: 診療所
  • 3: 病床
  • 4: 高度・救急医療
  • 5: 都道府県

第6回・第7回 患者の心理の理解とその必要性​

問題E-1​

病気に関連した患者の行動のうち、自分が病気ではないかと思い病院に入りたくなる行動や、健康診断で健康状態をチェックする行動を( 1 )行動という。


正解:

  • 1: 病気(対処)

問題E-2​

自分の不調を無視する心理的反応を( 1 )ストレスという。


正解:

  • 1: 心理的

問題E-3​

病気対処行動とは、病気を自覚したのち、対処する行動をとることである。( 1 )行動とは、病気の回復のために行う行動のことをいう。


正解:

  • 1: 病気回復(療養)

問題E-4​

健康の回復過程において、急性期、回復期、慢性期、終末期という4段階がある。急性期にある患者の心理として、これまで体験したことのない強い( 1 )を感じる。


正解:

  • 1: 苦痛(身体的苦痛)

問題E-5​

回復期(リハビリテーション期)にある患者の心理として、回復への( 1 )と後遺症への( 2 )が入り混じる。


正解:

  • 1: 期待
  • 2: 不安

問題E-6​

フィンクの危機理論では、危機を4段階に分けている。( 1 )の段階→( 2 )の段階→( 3 )の段階→( 4 )の段階


正解:

  • 1: 衝撃
  • 2: 防衛的退行
  • 3: 承認
  • 4: 適応

問題E-7​

慢性期にある患者の心理として、これまでと異なる( 1 )の生活方式でやっていかなければならない不安がある。長期にわたり( 2 )を続ける必要がある。


正解:

  • 1: 新たな
  • 2: 自己管理

問題E-8​

キュブラー・ロスは、死を宣告された人の心理過程を( 1 )段階で示した。( 2 )→( 3 )→( 4 )→( 5 )→( 6 )


正解:

  • 1: 5
  • 2: 否認
  • 3: 怒り
  • 4: 取引
  • 5: 抑うつ
  • 6: 受容

第9回 患者と看護師の関係​

問題F-1​

看護における援助の基盤は、( 1 )にとける( 2 )関係である。看護を行う上で( 3 )関係は重要な看護の基盤である。


正解:

  • 1: 看護者
  • 2: 対人
  • 3: 援助

問題F-2​

援助関係と患者との援助関係のプロセスにおいて、開始の段階では( 1 )と( 2 )を築くことが重要である。


正解:

  • 1: 信頼
  • 2: 共感

問題F-3​

援助関係における看護師の役割として、患者の権利を擁護し代弁する役割を( 1 )という。この患者の権利を擁護する活動を( 2 )という。


正解:

  • 1: アドボケイト(代弁者)
  • 2: アドボカシー

問題F-4​

患者が自ら力を見つけ、自分で力をつけていけるよう支援する看護師の役割を( 1 )という。看護師と患者が対等な関係で協力し合うことを( 2 )という。


正解:

  • 1: エンパワメント
  • 2: パートナーシップ

問題F-5​

看護の目的として、1.( 1 )、2.( 2 )、3.( 3 )が挙げられる。


正解:

  • 1: 対象理解(内面的理解)
  • 2: 健康回復
  • 3: 自立支援(行為参与の尊重)

第10回 看護の変遷​

問題G-1​

ナイチンゲールはクリミア戦争で従軍看護にあたり、看護の死亡率を( 1 )%から( 2 )%に低下させた。


正解:

  • 1: 42
  • 2: 2.2

問題G-2​

1873年、アメリカで( 1 )方式の看護教育が導入された。


正解:

  • 1: ナイチンゲール

問題G-3​

1860年、ナイチンゲールは( 1 )内にナイチンゲール看護婦訓練学校を設立した。


正解:

  • 1: 聖トマス病院

問題G-4​

1960年、( 1 )が看護の基本となる( 2 )の基本的ニードを示した。


正解:

  • 1: ヘンダーソン
  • 2: 14

問題G-5​

( 1 )は「臨床看護の本質」を著し、( 2 )(プロセスレコード)を発展させた。


正解:

  • 1: ウィーデンバック
  • 2: 看護過程

問題G-6​

( 1 )は「( 2 )の看護」を提唱し、看護は患者との人間関係を通じて行われるものとした。


正解:

  • 1: トラベルビー
  • 2: 人間対人間

問題G-7​

日本の近代看護について、1886年に( 1 )方式の看護教育が開始された。


正解:

  • 1: ナイチンゲール

問題G-8​

第2次世界大戦後、1948年に( 1 )が制定された。この法律は看護師の資格と業務の責任を定めた法律である。


正解:

  • 1: 保健師助産師看護師法(保助看法)

問題G-9​

戦後の日本において、( 1 )の指導により看護制度の改革が進められた。


正解:

  • 1: GHQ

第11回 保健医療福祉のしくみと看護​

問題H-1​

WHOは( 1 )年のアルマ・アタ宣言で( 2 )の考え方を提唱した。これは病気の予防と健康増進を重視し、( 3 )による健康管理を推進するものである。


正解:

  • 1: 1978
  • 2: プライマリヘルスケア
  • 3: セルフケア

問題H-2​

日本の医療保険制度は( 1 )制度であり、すべての国民が何らかの医療保険に加入する。医療費は( 2 )と自己負担で賄われる。


正解:

  • 1: 国民皆保険
  • 2: 保険給付

問題H-3​

保健医療福祉施設のうち、20人以上の患者を入院させるための施設を( 1 )といい、19人以下の患者を入院させるための施設を( 2 )という。


正解:

  • 1: 病院
  • 2: 診療所

問題H-4​

地域包括ケアシステムとは、住み慣れた場で、( 1 )まで自分らしい生活を送ることを支えるしくみである。


正解:

  • 1: 最期

問題H-5​

保健医療福祉チームの中で看護師の役割は、最も身近な( 1 )となり、チーム内の( 2 )のためのリーダーシップを発揮することである。


正解:

  • 1: 相談者
  • 2: 連携・調整