基礎看護技術III - 環境調整・衣生活・食生活・排泄援助
授業プリントより
- 衣服の適切な材質は通気性、保温力、含気性、吸湿性、耐熱性、洗濯に耐える丈夫なもの、皮膚を刺激しない肌触りの良いもの
- 衣服気候とは、衣服の着用によって外界とは異なる気候が形成されること
- 快適に感じられる衣服気候は温度31-33℃、湿度40-60%
- 夏季の日中は病室を20-26℃、冬季は17-22℃に保つ
- 病室の照度基準は100ルクス
- 病室の湿度は冬季40-60%、夏季45-65%
- 気温、湿度、気流の3つの要素を感覚温度
- 療養施設地域では昼50db以下、夜間40db以下
- 病院は20床以上の入院設備を持つ施設
I. 正誤・訂正問題
次の文章を読んで正しいものには○、誤っているものには×を記入し、誤っている下線部の語句を正しく記入しなさい。
1. 多尿とは一日1,000mL以上をいう。
正答: × 誤り箇所: 1,000mL → 正しくは: 2000mL 解説: 多尿とは成人において1日の尿量が2000mL以上のことを指します。正常な成人の1日尿量は1000-2000mLとされており、1000mL以下は乏尿(400mL以下)または無尿(100mL以下)に分類されます。多尿の原因には糖尿病、尿崩症、利尿薬の使用などがあります。
2. 片麻痺がある患者の食事介助は、患側から介助する。
正答: × 誤り箇所: 患側 → 正しくは: 健側 解説: 片麻痺患者の食事介助は健側から行います。これにより患者が残存機能である健側の手を使って自立的に食事を摂ることができ、リハビリテーションの観点からも重要です。患側から介助すると患者の自立性が阻害され、誤嚥のリスクも高まります。
3. 紫外線には、ビタミンEの生成にかかわる働きがある。
正答: × 誤り箇所: ビタミンE → 正しくは: ビタミンD 解説: 紫外線(特にUV-B)は皮膚でビタミンDの合成を促進します。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の健康に重要な役割を果たします。ビタミンEは抗酸化作用があり、主に食品から摂取する脂溶性ビタミンです。
4. クローズドベッドでは、下シーツの角は四角にする。
正答: × 誤り箇所: 四角 → 正しくは: 三角 解説: クローズドベッド(患者が不在の時のベッド)では、下シーツの角は三角に折り込みます。これを「三角折り」または「封筒折り」と呼び、シーツがずれにくく美観も保たれます。オープンベッド(患者が使用する時)では角は四角に折ります。
5. 身長160cm、体重50kgの患者のBMIは、約22.5である。
正答: × 誤り箇所: 22.5 → 正しくは: 19.5 解説: BMI(Body Mass Index)= 体重(kg) ÷ [身長(m)]²で計算します。50 ÷ (1.6)² = 50 ÷ 2.56 = 19.53となり、約19.5です。BMI判定基準では18.5未満が低体重、18.5-24.9が普通体重、25以上が肥満となります。
6. 病院とは入院設備が30床以上の施設をいう。
正答: × 誤り箇所: 30床 → 正しくは: 20床 解説: 医療法により、病院は20床以上の入院設備を持つ医療施設と定義されています。19床以下は診療所(クリニック)に分類されます。この区別により、設置基準や人員配置基準が異なります。
7. 摘便は、仰臥位もしくは右側臥位で行う。
正答: × 誤り箇所: 右側臥位 → 正しくは: 左側臥位 解説: 摘便は左側臥位で行います。これは直腸の解剖学的構造(S状結腸から直腸への走行)を考慮したもので、左側臥位により便塊にアプローチしやすくなります。また、患者の負担も軽減されます。
8. 和式寝衣の場合、襟は左前身頃が上になるようにする。
正答: ○
9. 尿路に造設されたストーマをコロストミー(人工肛門)という。
正答: × 誤り箇所: コロストミー → 正しくは: ウロストミー 解説: 尿路に造設されたストーマはウロストミー(人工尿路)と呼ばれます。コロストミーは大腸に造設される人工肛門のことです。小腸ストーマはイレオストミーと呼ばれ、造設部位により名称が異なります。
10. 人間の基本的欲求を5つの段階に分類したのはヘンダーソンである。
正答: × 誤り箇所: ヘンダーソン → 正しくは: マズロー 解説: 人間の基本的欲求を5段階に分類した「欲求段階説」を提唱したのはアブラハム・マズローです。生理的欲求→安全欲求→所属・愛情欲求→承認欲求→自己実現欲求の順で構成されます。ヘンダーソンは14の基本的看護ケアの構成要素を提唱しました。
II. 穴埋め問題
次の文章の( )に下の語群より適切なものを選び記入しなさい。
語群: 頭・足・無尿・乏尿・多尿・尿閉・頻尿・稀尿・器質性・機能性・溢流性・切迫性・腹圧性・反射性・上端・中心・下端・上側・下側・右側・左側・18~20・38~39・41~43・前屈・後屈・5・10・15
1. 陰部洗浄の際は、( )℃の湯を使用する。
正答: 38~39
解説: 陰部洗浄に使用する湯温は38-39℃が適切です。これは体温よりやや高めの温度で、患者が不快に感じない範囲です。熱すぎるとやけどの原因となり、低すぎると不快感や清潔効果の低下を招きます。
2. 外気温と冷房室内温度の差が( )℃以上にならないようにする。
正答: 5
解説: 外気温と室内温度の差が5℃以上になると、身体の温度調節機能に負担がかかり、体調不良や風邪の原因となる可能性があります。特に高齢者や病患者は温度変化への適応力が低下しているため、温度管理に注意が必要です。
3. 1日に400mL以下しか尿が排泄されない場合を( )という。
正答: 乏尿
解説: 乏尿は1日の尿量が400mL以下の状態で、腹水や浮腫の悪化、電解質バランスの異常を来たす可能性があります。原因には腎不全、脱水、無尿があり、100mL以下の場合は無尿と呼ばれます。早期の原因検索と対応が重要です。
4. 左上肢に障害がある患者の寝衣交換では、( )から脱がせ( )から着せる。
正答: 右側、左側
解説: 麻痺患者の寝衣交換は「脱健着患」の原則に従います。つまり、脱ぐ時は健側(動く方)から先に脱がせ、着る時は患側(動かない方)から先に着せます。これにより患者の負担を最小限にし、安全に行うことができます。
5. 座位やファーラー位で食事の援助を行う場合、患者の頚部は( )した体位にする。
正答: 前屈
解説: 食事時の頚部前屈は誤嚥防止に重要です。頚部を前屈させることで喉頭蓋が気道を完全に遮断し、食物が気道に入らないようにします。逸曲や重度の前屈は誤嚥リスクを高めるため、適切な角度を保持することが大切です。
6. 尿意と同時に膀胱の収縮が起こり、不随意に排尿してしまう状態を( )尿失禁という。
正答: 切迫性
解説: 切迫性尿失禁は、尿意を感じてからトイレに到達する前に失禁してしまう状態です。過活動膀胱の原因として尿路感染、前立腺肥大、神経因性膀胱などがあります。医療的治療とともに、排尿時間の管理やポータブルトイレの近くへの設置などの看護介入が有効です。
7. 大腸全体の蠕動運動の低下や、ストレスなどからしばしばみられ、看護上の援助で解消しやすいのは( )便秘である。
正答: 機能性
解説: 機能性便秘は器質的な病変がない便秘で、生活習慣、ストレス、低繊維食品の摂取不足、運動不足などが原因です。水分摂取の増加、食物繊維の多い食品摂取、適度な運動、規則正しい生活、腹部マッサージなどの看護介入で改善が期待できます。
8. 便器を使用する際は、肛門部が便器の( )にくるように挿入する。
正答: 中心
解説: 便器の正しい使用方法では、肛門部が便器の中心にくるように位置します。これにより排泄物が便器外に漏れることなく、患者の尊厳と衛生が保たれます。また、患者の体型や体位に合わせて適切に調整し、不快感を最小限にすることが重要です。
9. リネン交換の際ランドリーバッグはベッドの( )元に置く。
正答: 足
解説: ランドリーバッグはベッドの足元に置きます。これは作業動線を考慮したもので、リネン交換は一般的に頭側から足側へ向かって行い、汚染したリネンを順次バッグに入れていくためです。頭元に置くと作業の障害になり、非効率です。
III. 正誤問題(各2点×25=50点)
次の問いについて正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。
1. 重症や衰弱している患者でも、排泄時は一人にしてプライバシーを保護する。
正答: × 解説: 重症や衰弱した患者の排泄時は、プライバシーと安全性のバランスを考慮します。送動や意識障害がある場合、転倒や失神のリスクがあるため、看護師が付き添うことが安全です。プライバシーは他の手段で確保します。
2. テープ式紙おむつは上側のテープから止める。
正答: × 解説: テープ式紙おむつは下側のテープから止めます。上側から止めるとおむつがずれたり、適切なフィットが得られない可能性があります。下側から止めることでおむつが適切にフィットし、漏れを防ぐことができます。
3. 寝衣交換の際、和式寝衣のひもは、縦結びにする。
正答: × 解説: 和式寝衣のひもは、横結びにします。縦結びはご遺体の結び方であり、患者の寝衣では適切ではありません。
4. 女性が便器で排泄する際は、ペーパーを折ったものを陰部にあて、便器内につくようにする。
正答: × 解説: 女性が便器で排泄する際は、ペーパーを便器につけるのではなく、陰部に当てて便器につかないようにします。これにより陰部の清潔を保ち、感染を防ぐことができます。ペーパーが便器内に触れると汚染の原因となります。
5. おむつ交換は、排尿、排便があっても患者の苦痛を考えすぐには替えずに3時間おきに行う。
正答: × 解説: おむつ交換は排泄があったら速やかに行います。汚染されたまま放置すると皮膚トラブル、尿路感染、不快感、尊厳の侵害などの原因となります。排泄がない場合でも定期的な交換(一般的に2-4時間おき)が必要です。
6. 寝衣交換を手早く行うために、患者の自立度は確認しない。
正答: × 解説: 寝衣交換では患者の自立度を必ず確認します。患者の能力を最大限に活用することで、リハビリテーション効果や自尊心の維持につながります。また、適切なケア方法を選択し、安全で効率的な交換が可能となります。
7. ベッドメイキングの際、防水シーツは必ず腰の位置に敷く。
正答: × 解説: 防水シーツは尿失禁や発汗などでシーツが汚れる可能性のある部分に敷きますが、必ずしも腰の位置に限定されません。患者の状態やベッドの使用目的に応じて、適切な位置に敷くことが重要です。
8. 便秘防止のために食物繊維が多く含まれる野菜・果物は控えるようにする。
正答: × 解説: 便秘防止には食物繊維の摂取が重要です。食物繊維は便の量を増やし、腹壁を刺激して腸管の蠕動を促進します。野菜、果物、全穀穀物、豆類などを積極的に摂取し、水分摂取や適度な運動も組み合わせることが効果的です。
9. 女性の場合排泄後、陰部は肛門から尿道に向かって拭く。
正答: × 解説: 女性の陰部清拭は「清潔から不潔へ」の原則に従い、尿道口から肛門方向へ一方向に拭きます。逆方向に拭くと大腸菌などの細菌が尿道に侵入し、尿路感染症の原因となります。新しいガーゼやティッシュを使用し、一回つき拭いたら破棄します。
10. 摘便時は、口呼吸を促す。
正答: ○ 解説: 摘便時に口呼吸を促すことで、腹圧をかけずにリラックスした状態を保つことができます。鼻呼吸や息を止めると腹圧がかかり、患者の不快感が増し、迷走神経反射を引き起こすリスクもあります。
11. ストーマからの排泄物は、袋いっぱいに溜めてから交換する。
正答: × 誤り箇所: 袋いっぱい → 正しくは: 1/3~1/2程度 解説: ストーマパウチは内容量の1/3~1/2程度貯留した時点で交換します。満パンにすると重量でパウチが腹壁から剥がれるリスクや、漏れの危険性が高まります。
12. 病院食は治療食と検査食の2種類に分けられる。
正答: × 誤り箇所: 治療食と検査食 → 正しくは: 一般食と治療食(または常食と特別食) 解説: 病院食は一般食(常食)と治療食(特別食)に分類されます。一般食は特別な制限がない食事で、治療食は疾患に応じた栄養管理が必要な食事です。検査食は治療食の一種です。
13. 一人で食事摂取ができない患者の食事介助の際は、介助者のペースで援助する。
正答: × 誤り箇所: 介助者のペース → 正しくは: 患者のペース 解説: 食事介助は必ず患者のペースに合わせて行います。介助者のペースで急がせると誤嚥のリスクが高まり、食事の満足感も得られません。患者の咀嚼・嚥下のリズムを観察しながら援助します。
14. BMIの判定基準では、25以上が肥満である。
正答: ○ 解説: BMI(Body Mass Index)の判定基準では、18.5未満が低体重、18.5~24.9が普通体重、25以上が肥満とされています。肥満はさらに25~29.9(肥満1度)、30~34.9(肥満2度)、35以上(肥満3度以上)に分類されます。
15. 摂食・嚥下の過程は、先行期・口腔期・咽頭期・食道期の4期に分けられる。
正答: × 誤り箇所: 4期 → 正しくは: 5期(先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期) 解説: 摂食・嚥下は5期に分類されます。①先行期(食物認識)、②準備期(咀嚼・食塊形成)、③口腔期(舌による食塊移送)、④咽頭期(嚥下反射)、⑤食道期(食道蠕動)です。4期とするのは準備期を含まない古い分類です。
16. 膀胱内に貯留した尿が排泄されない状態を無尿という。
正答: × 誤り箇所: 無尿 → 正しくは: 尿閉 解説: 膀胱内に尿が貯留しているが排出できない状態は「尿閉」と呼ばれます。「無尿」は腎臓で尿が生成されず、1日の尿量が100mL以下の状態を指します。尿閉の原因には前立腺肥大、神経因性膀胱などがあります。
17. リネンを引き出すときは、足元から頭部にかけて行う。
正答: × 誤り箇所: 足元から頭部 → 正しくは: 頭部から足元 解説: リネンを引き出すときは頭部から足元に向かって行います。この方向で作業することで効率的かつ清潔にリネンを交換できます。ランドリーバッグも足元に置くのはこのためです。
18. 食事が終了したら、速やかに患者を安静臥床させる。
正答: × 誤り箇所: 速やかに安静臥床 → 正しくは: 30分程度座位を保つ 解説: 食後は30分程度座位を保つことが推奨されます。食後すぐに臥床すると胃内容物の逆流による誤嚥や逆流性食道炎のリスクが高まります。消化を促進し、誤嚥を防ぐために座位保持が重要です。
19. 健康な成人の1日の尿量は、2000~2500mLである。
正答: × 誤り箇所: 2000~2500mL → 正しくは: 1000~2000mL 解説: 健康な成人の1日の正常尿量は1000~2000mLです。2000mL以上は多尿に分類されます。尿量は水分摂取量、発汗、代謝状態などにより変動します。
20. 下シーツはヘムの小さい方を頭側、大きい方を足側にして使用する。
正答: × 誤り箇所: ヘムの小さい方を頭側、大きい方を足側 → 正しくは: ヘムの大きい方を頭側、小さい方を足側 解説: 下シーツはヘムの大きい方を頭側に配置します。これはシーツが上方へずれた際に患者の顔にかからないようにするためです。適切な配置により患者の快適性と安全性が保たれます。
21. 汚染したシーツは、汚染した面が内側になるように丸めてはずす。
正答: ○ 解説: 汚染したリネンは汚染面を内側にして丸めることで、汚染の飛散や二次汚染を防ぎます。これは標準予防策に基づく感染予防対策の基本です。
22. 医療法施行規則により、病床面積は患者1人につき6.4㎡以上と規定されている。
正答: ○ 解説: 医療法施行規則では、病院の病床面積は患者1人につき6.4㎡以上と規定されています。この基準により患者の療養環境の質と医療の安全性が確保されています。
23. 臥床患者の環境整備では、粘着ローラーは足側から頭側に向けて使う。
正答: × 誤り箇所: 足側から頭側 → 正しくは: 頭側から足側 解説: 粘着ローラーは頭側から足側に向けて使用します。これはリネン交換などの基本動作と同様に、作業の効率性と清潔保持の観点から推奨される方向です。
24. 食事介助の際、食膳は看護者が見わたせる位置に配膳する。
正答: × 誤り箇所: 看護者が見わたせる位置 → 正しくは: 患者が見わたせる位置 解説: 食膳は患者が見わたせる位置に配膳します。患者が食事全体を視認できることで食欲が促進され、食事への意欲も高まります。摂食・嚥下の先行期として視覚情報は重要です。
25. シーツ類をマットレスの下に入れるときは、手のひらは上、手の甲が下になる手つきで、押し入れる。
正答: × 誤り箇所: 手のひらは上、手の甲が下 → 正しくは: 手のひらが下、手の甲が上 解説: シーツをマットレスの下に入れるときは、手のひらを下に、手の甲を上にして挿入します。この手つきによりシーツをスムーズに引き込むことができ、手を傷つけるリスクも軽減されます。